阿尾直彦:風景 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集3 |
公開日: 2014年 1月 16日 |
今回TORARY NANDで二回目となる阿尾直彦の個展。 「風景」という何の変哲も無いぶっきらぼうなタイトルが示すように彼の表現は事象そのままを受け入れ提示してみせる。 素材を例に挙げれば、彼は家業である鉄工所で出る廃油やカーボンを使いキャンバスに塗り込む。それは何年経っても乾かないし臭いも放ち絵を描く素材としては不適切だろう。時には乾かない塗膜に虫や埃が付着している。油絵と水彩を強引に混ぜ合わせ描かれた平面も、塗膜がひび割れ支持体からボロボロ剥がれ落ちる。しかしそれらを平然と表現の一部として彼は肯定する。額にしても、ガラスが汚れ枠が壊れた廃品を解体屋から譲り受け当然修正などせず使用する。 2011年の彼の展示、『Das Boots 1991−2011』ではガラクタようなそれら物たちが作品として飾られるのを拒むように無造作に散乱し埋め尽くされていた。コンセプトはないよ、と彼は言う。 資本主義によってどんな芸術をもことごとく商品化されゆく現実。それに飲み込まれまいと頑に拒否しようとする姿勢こそ彼にとっての芸術なのだろう。 今回も鉄工所から彼の愛車軽トラでどのような物が運ばれてくるか今から楽しみである。(文:小灘精一) ◆1/17【金】18:00→オープニング【shini-matu nignt】DJ死待 全文提供:TORARY NAND 会期:2014年1月17日(金)~2014年2月2日(日) |
最終更新 2014年 1月 17日 |