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田中武:夜咄はこれから
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 10月 15日

十六恥漢図シリーズ「夜妄(やもう)」
194×130cm
土佐麻紙、水干絵具、顔料、アクリル絵具

イムラアートギャラリー東京では、田中武 個展「夜咄はこれから」を開催いたします。
田中は、日本画という言葉に疑問を呈し、菱田春草の「兎に角日本人の頭で構想し、日本人の手で制作したものとして、凡て一様に日本画として見らるる時代が確かに来ることと信じている」という言葉を引用しながら、「作家自身がこれこそが日本画だと強く信じるものを、ただひたすらに打ち出していくこと」が肝要であると言います。
田中の代表作である「十六恥漢図」シリーズでは、欲望に憑かれた女性の手で印相を結び、周りには狩野派の粉本から引用した草花を配するなど、日本美術の伝統的な表現を受け継ぎながら、西洋絵画の描法を下地とした現代的な絵画へと昇華させています。
本展覧会では、「十六恥漢図」シリーズの新作を含め、夜の欲望をテーマにした作品を展示いたします。夜という欲望が匂いたつ時間に、人はどんな姿で己の欲望と向き合うのか。夜半の冬、それぞれの夜咄に耳を傾けつつ、田中の描く夜の世界に浸ってご高覧ください。

[作家コメント]
頭のてっぺんから爪先まで無数の欲望で満ちている。色欲、飲食欲、財欲、睡眠欲、名欲など挙げれば切りがない。人間の肉体の約50~60%は水分で構成されているというが、心の構成はどうなっているのだろうか。欲望という単語から明るく澄み切った空色をイメージする人は多くはないだろうけれど、欲望を諸悪の根源として捉えることだけに固執しなければ、歓びの源としての一面も見えてくる。
そしてそれらがもっとも淫靡で美しく輝く瞬間がある。それは空が黒いカーテンで覆われ、闇がもっとも深くなった頃だ。内在する欲望はふつふつと沸きあがり、理性との猥雑な駆け引きが始まる。時に罪悪感すら伴ったその駆け引きの先には、悦楽的な歓びが待っていることだろう。
本展のタイトルにある「夜咄」とは夜の会話を指す語であるが、深い時間帯に自身の欲望と向き合う時、そこに見出せる歓びをテーマにした作品を展示する。
真夜中、制作中にふと、鏡をみる。アクションペインターではないはずの私の髪の先から爪先まで、いたる所に絵具が付いている。こうした絵具たちから絵画を生み出すように、私にとって密接不可分なものは常に歓びの源である。

田中武

[作家プロフィール]
田中武  Takeshi TANAKA

1982 福岡県生まれ
2007 九州産業大学 博士前期課程 芸術研究科 美術専攻(日本画)修了
2010 九州産業大学 博士後期課程 芸術研究科 造形表現専攻(日本画)修了

主な個展
2012 「隠/暗」日本橋髙島屋 美術画廊X(東京)

主なグループ展
2007 「第39回日展」国立新美術館(東京)
2009 「第8回佐藤太清賞公募美術展」佐藤太清記念美術館(京都)
2010 「ART AWARD NEXT 2010」東京美術倶楽部・東美フォーラム(東京)
「妙心寺展開催特別企画 和のこころ展」九州国立博物館(福岡)
2011 「第5回トリエンナーレ豊橋 星野眞吾展」豊橋美術博物館(愛知)
「第30回損保ジャパン美術財団 選抜奨励展」東郷青児美術館(東京)
「ゴッホ展開催特別企画 情熱展」九州国立博物館(福岡)
2012 「第5回東山魁夷記念 日経日本画大賞展」上野の森美術館(東京)
2013 「現代水墨画作家展 2013」国立新美術館(東京)
「Benetton Collection Imago Mundi」Venice(Italia)

受賞
2009 第8回佐藤太清賞公募美術展 特選・福知山市長賞
2010 ART AWARD NEXT 2010 審査員賞&青年会賞
2011 第5回トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展 大賞受賞
2011 第46回日春展 奨励賞

パブリックコレクション
豊橋市美術博物館
寺田コレクション(オペラシティ)
九州産業大学

レセプション | 11月30日(土)18:00〜


全文提供:イムラアートギャラリー東京
会期:2013年11月30日(土)~2013年12月22日(日)
時間:12:00ー19:00
休日:月・火・祝
会場:イムラアートギャラリー東京
最終更新 2013年 11月 30日
 

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