なつやすみの美術館「みること」「うつすこと」 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 6月 29日 |
和歌山県立近代美術館では、さまざまな視点からテーマを設けて、コレクションを紹介しています。今回は、「みること」「うつすこと」をテーマに、美術のひとつの側面に光をあてます。 見えるものを写すことは、長いあいだ、美術の目的でした。目に見える世界を写しとり、絵画や彫刻として再現することが、美術の仕事とされてきたのです。 しかし、19世紀に発明された「写真」は、レンズを通した光を定着させることで、見える世界をそのまま写し取ることを可能にしました。写真という新しい現実の出現は、逆に「みる」という体験についての再考を促します。現実の似姿のようにみえるけれども、現実とは異なる世界。写真に写された世界は、私たちの見ている世界とは?リアルとはなにか?と問いかけます。そして、これまでの美術も、その役割や存在を問われることになりました。見るために必要不可欠な「光」、あるいは記録される「時間」や「記憶」といった問題もより意識されるようになります。 原版を転写することで制作される「版画」も、写すことによってしか得られないイメージを生成する美術表現です。原版とその写しの間に生じる差異やズレこそは、版画の本質といえるものですが、「うつす」という行為そのものを問うような作品も生まれています。 この展覧会では、「写真」や「版画」といった「うつす」メディアを用いた現代美術の作品を中心に紹介し、「みること」と「うつすこと」をめぐる不思議について、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。 主な出品予定作家 関連事業(予定) ※全文提供: 和歌山県立近代美術館 会期: 2011年7月2日(土)-2011年8月28日(日) |
最終更新 2011年 7月 02日 |