杉山卓朗:PLUS "MASS" |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 11月 22日 |
(左)「無題」 2010年 [当展出品作品] アクリル・キャンバス 193.9×130.3 cm 「OSAKA ART COMPLEX Vol.3」参加企画展覧会、YOD Galleryでは、2年ぶりとなる杉山 卓朗 (Takuro Sugiyama, b.1983) の個展。 杉山は全ての工程において手作業で、かたちづくりの根源的な要素である線と面を巧みに操り、二次元と三次元の狭間にある超越した感覚を平面上に表現することにこだわり続けています。2年前の個展以降もアートフェアを中心に新作を次々と発表し、新時代の抽象表現として高い評価をいただいております。 杉山が平面上で表現してきた非現実的な立体感は、人間の視覚に対する飽くなき挑戦と言えます。私たちが彼の作品を目の当たりにした時、必ず三次元の存在を平面上に認識しようとします。平面上に描かれた線と面だけで、見る者に対し立体的な世界を想像させることはできます。しかし彼の三次元的な世界には矛盾したものが存在し、決して現実の三次元的な空間では実現できない2.5次元とも言えるフィクションの世界を、彼は想像の中で作り上げ、私たちの眼前に提示してきました。 当展では、ますます進歩を遂げてきた杉山の線と面による2.5次元の要素と、新たに"質量感 (Mass)"の要素が作品に加わることで、より現実から乖離した複雑な空間感覚がギャラリー内に満ち溢れます。人間が視覚を通じて感じる要素は多々ありますが、今回の新作が表現する"質量感 (Mass)"は、彼のかたちづくりの次のステージと言えるでしょう。線と面という単純な要素が、かたちの中にどれだけたくさんの感覚を表現できるかを追及してきた彼は、かたちが持つ「重み」という概念に着眼点を置きました。 立体的なもの、つまり3次元には必ず重力の存在が欠かせません。線の組み合わせによって出来上がる面と、その面の積み重ね、更には光陰のグラデーションとなる色面の配置。これらを駆使して地球の中心へと向かう重力に抗う彼の新たなかたちづくりが平面上に展開されていきます。その新しい線と面の構成による色面、あるいは曲線と直線の配置によって、立体物から感じ取ることができる「質量」の一般的な関係を破綻させ、杉山が生み出す重力のベクトルやエネルギーの不規則性をギャラリー内で体感していただけるはずです。 当展では、100号以上の大作から小品まで、さまざまな大きさの画面の中で、みなさまをより非現実な空間へと導きます。かたちづくりのダイナミズムは一層強固なものとなり、人間の空間把握能力をも超越しようとする、杉山のかたちづくりの世界は新たな概念を切り拓きます。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 杉山 卓朗(Takuro Sugiyama) プロフィール 主な個展 主なグループ展 ※全文提供: YOD Gallery 会期: 2010年11月26日(金)-2010年12月25日(土) |
最終更新 2010年 11月 26日 |