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Konohana’s Eye #11 鮫島 ゆい 「5時の点は白と黒」
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2016年 1月 15日

鮫島ゆい《ある日のヴィデオ・アニメイション #1》アクリル・綿布 | 30.0 x 30.0cm | 2016 [本展出品作品]

このたびthe three konohanaでは、鮫島 ゆい(Yui Samejima, b.1988)の2年ぶりの個展を開催いたします。

2年前の弊廊での個展以後の鮫島は、複数のグループ展への参加に、昨年弊廊が出展したアートフェア「ART OSAKA 2015」での新作発表と、着実に制作および発表を重ねてきました。前回の個展で改めて構築した自らの表現手法の枠組みを、2年間一貫して遵守してきた成果を踏まえて、今回の個展に臨みます。

前回の個展では、鮫島のこれまでの作風の展開を踏まえて取捨選択した上で、彼女の表現と作品制作のルールを定めていくことに取り組みました。これまでに随所に見られた感情を露わにした筆致や多様な色彩を排除し、自らの視覚を通じて現実から引用したかたちと、自らの思考と想像の中から得られた架空のかたち、この二つのモチーフの探究を造形への意識の軸に絞りました。さらに彼女が学生時代から意識を持ち続けているコラージュの思考を、単一の作品内で両極のモチーフを構成する際の軸に置き、絵画作品のみならず立体作品も並行して制作することにより、絵画・二次元の範疇に固執することなく、彼女の作品制作のプロセスそのものに表現の重心があることを明確にしました。

本展では、2年前の個展以来継続してきたこの表現スタイルに基づきながらも、二極化かつ対照的に置かれているそれぞれの要素の境界線および接点への探究を深める内容となります。昨年の「ART OSAKA 2015」で発表した一連の新作にもその傾向が見られましたが、各々の作品を構成するかたちや材料の扱いに独特で唐突なものが目立ち、さらに作品内でそれらが組み合わさる中でつかみどころの無い曖昧な部分が顕著に現れ出しています。前回は作品を構成する個々のパーツの考察に重きを置いていましたが、本展では個々の作品および全体の展示に更なる深みと説得力を与えるための構成力に、意識をより傾けていきます。本展でも継続して絵画作品と立体作品の双方で空間を構築し、ミクロとマクロの視点から彼女の造形思考の深化を提示する内容となります。

鮫島は、本展のイメージを「画質の荒い映像を、次々とコマ送りで見た時に残る、実像と虚像の隙間のようなもの」という言葉で表現しています。強く立ち上がった個々の不思議なモチーフを再構成する意図とともに、視覚上の違和感とモチーフのゆるやかな関係性の共存をほのめかすように露呈させる彼女のアプローチは、私たち鑑賞者へ視覚や理性のみで捉えきれない意識への誘導を促します。これまでは生命体という言葉で表現していた彼女のモチーフのあり方が、現在ではより客観的で無機質なものとなり、冷静に関係性の概念自体に向き合っているように思います。単純な調和でも違和感でもない、曖昧さの容認が前提にある彼女のコラージュ的思考による意図とそのイメージの展開を、感性と理性を行き来しながら感じ取っていただければ幸いです。この機会にぜひご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

http://www.thethree.net

全文提供:the three konohana


会期:2016年2月12日(金) 〜 2016年3月27日(日)
時間:木・金曜 15:00~21:00/土・日曜 12:00~19:00
休日:毎週月曜~水曜
会場:the three konohana

最終更新 2016年 2月 12日
 

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