fictions:食べられないレストラン |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 9月 17日 |
おいしそうなものを見ると、少し目をとめてしまう。その一瞬の間に、細部のテクスチャーまで目を届かせながら、そこから想像される感覚─歯ごたえ、舌触り、甘さ、香り、みずみずしさ、冷たさ─などをひととおり味わっている。日々の中で想像力が自然に豊かに発揮される数少ない場面。 日常生活でよく目にする、普段あまり気にとめない物も食べ物として見たら、もっとじっくり味わうことができるかもしれない。おいしいメニューを提供する食べられないレストランが開店します。 *opening party *Workshop「レストランのメニューを作る」 *Event「食べられるレストラン」 ※ご予約は、参加希望のイベント名、お名前、お電話番号を明記し、 このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください までお申し込みください。 fictions 長岡綾子(ながおかりょうこ)/ 1984年生まれ。京都造形芸術大学卒業。主にグラフィッ クデザインに関わる仕事をしながら、自主的な制作活動を行う。 2010年よりworkroom勤務、同年カードゲーム「connect」を発売。2011年3月「雑草のための道具展」開催、花器や標本帖、アクセサリーを発表。 成田舞(なりたまい)/ 1984年生まれ。京都造形芸術大学卒業。第2回littlemoreBCCKS 写真集公募展大賞・川内倫子賞受賞。 2011年6月に写真集「ヨウルのラップ」をリトルモアより出版。 グループ展への参加や個展の開催など関西を中心に活動。雑誌、書籍などに作品を掲載。 全文提供: workroom*A 会期: 2011年9月26日(月)~2011年10月8日(土) |
最終更新 2011年 9月 26日 |
「食べられないレストラン」とは、どんな「レストラン」だろうか。
レストラン(ギャラリー)に入ると、テーブルクロスのかかった机にナプキンが 置かれたお皿が並んでいる。鑑賞者がイスに座ると、メニューを手渡される。レストラン と同じように、私は渡されたメニューをめくり始める。何を食べようか、食事を選ぶ楽し みが始まる。ところが、ページをめくってしばらくして気づく。おいしそうなパンやスイ ーツ、焼き菓子が「食べられない」ことに。
本展は、長岡綾子(プラン、デザイン)と成田舞(写真)によるユニットfictionによる「メニュー」の展覧会なのだ。写真やそばに添えられた筆記体で書かれた料理名を見ているだけでおいしそうな食べものの歯ごたえ、舌触り、甘さ、香り、暖かさ、冷たさを食感 や触覚ではなく、視覚や想像で楽しむ。見た目だけで私たちはどれだけ食欲を刺激されているか。そして、食べものではないものでさえ、食べものに見えてしまう食欲の力の偉大さに気づく。
食欲の秋、おいしいメニューを見てお腹を満たそう。そして、帰り道に思う。今晩は何を食べようかと。