黒川知希 / タティアナ・ドール 新作展 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 5月 02日 |
Tomoki Kurokawa《Our life》2011年 | Acrylic Painting on Canvas|1620 × 1303 mm | 画像提供:ナンヅカ・アンダーグラウンド | Copyright © Tomoki Kurokawa 黒川は、1975年三重県に生まれ、以後美術の高等教育を一切受けずに独学で絵を学んできた異色のアーティストです。黒川は、アイロニカルに自身を「アウトサイダー」と呼んでいますが、そうした自身の白紙のキャリアを武器にしながら、常に大胆な挑戦を試みている希有なアーティストです。黒川の創作意欲は、常にその内部に抱く強烈な反骨精神に基づいています。例えば、私たちの常識をいかに視覚的に裏切れるか、という視点は黒川の最も重要なテーマの一つです。あるいは、既存の価値に対するアンチテーゼも、黒川の作品が内包するテーマです。ゴミを集めてイメージソースとする、子供の落書きと同様の強度を持つ、といった黒川の創作姿勢は、様々なルールで縛られた現代社会の中でアーティストとして生きる問題意識を雄弁に語ります。 タティアナ・ドールは、1970年旧西ドイツのブルクシュタインフルトに生まれ、デュッセルドルフ芸術大学を卒業した女性アーティストです。その作品は、今尚進化を続けるペインティングの可能性を更に押し進める唯一無二の才能として、国際的に高い評価を得ています。確かなスキルに裏打ちされたダイナミックさ、他に類を見ない圧倒的なスケール感、そしてスピード感と躍動感。これらはいずれもタティアナのペインティングを称する共通言語です。タティアナが描く対象は、子供の玩具から自動車、飛行機、道路標識、歴史的名画、あるいは映画やTVゲームのワンシーンまで、私たちの同時代性を象徴する万物に向けられています。その様子は、あたかも私たち人類が進化の過程で得た知的好奇心を満たす初期衝動にも似ています。 両者はともに1970年代に生まれ、ペインティングというメディウムを武器にアートの可能性を模索し続けているアーティストです。時にはその作品のサイズが10mにも及ぶ両者の作品は、ペインティングの力を信じてハードワークを続けた結晶であるとも言えます。1枚の絵画がどれほど私たちの心を揺さぶることができるのか、今もこの2人のアーティストは自問し続けながら創作を続けています。 全文提供: ナンヅカ・アンダーグラウンド 会期: 2011年5月21日(土)-2011年6月18日(土) |
最終更新 2011年 5月 21日 |