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田名網敬一:夜桜の散る宵闇
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Published: September 29 2014
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この度、NANZUKAは、田名網敬一の新作個展「夜桜の散る宵闇」を開催いたします。

田名網敬一は、1936年東京に生まれ、武蔵野美術大学を卒業。1960年代より、グラフィックデザイナーとして、イラストレーターとして、そしてアーティストとして、メディアやジャンルに捕われず、むしろその境界を積極的に横断して創作活動を続けてきた孤高のアーティストです。在学中にデザイナーとして華々しくデビューした一方で、当時よりファインアート作品も精力的に制作し、読売アンデパンダン展への出展や村松画廊、椿近代画廊で個展を開催していることはあまり知られていません。卒業後の60年代半ばには、サイケデリックカルチャーやポップアートの洗礼を受け、アニメーション作品からシルクスクリーン、漫画的なイラストレーション、コラージュ、実験映画、ペインティング、立体作品と今日に至るまでその創作活動の幅を広げてまいりました。特に60年代のアンディウォーホルとの出会いに触発され、現在に至るまで「編集」というデザインの方法論を用いながら、「アートとデザイン」、「アートと商品」、「日常と美の関係」といった今日の現代美術が抱える主要な問題に対して実験的な挑戦を試み続けています。近年の田名網の主要な展覧会としては、個展「No More War」(Schinkel Pavillon、ベルリン)、個展「KILLER JOE\'S (1965-1975)」(Fondation Speerstra、スイス)、グループ展「Ausweitung der Kampfzone: Die Sammlung 1968 - 2000」(ベルリン新国立美術館、2013)の他、2015年にアメリカのWalker Art Center、Dallas Museum of Art、Philadelphia Museum of Art を巡回するポップアートの大回顧展“International Pop”展にも出展が予定されているなど、国際的な評価が高まっています。

田名網は近年、その主な労力をキャンバスに向けています。特に2010年以降は大作のペインティングを中心に、自身の78年以上もの歴史を記したいわば\"曼荼羅図\"の制作に取り組んでいます。例えば、ここには田名網が幼少期に経験した戦争を連想するモチーフが幾多に込められています。光を放つ奇怪な生き物は、擬人化した爆弾と爆発の光。縦に伸びるビーム光線は、アメリカの爆撃機を探す日本軍の放つサーチライト。画面中に登場する骸骨姿のモンスターたちは、戦争で傷ついた人々であり、同時に恐れを知らぬ私たち自身の姿でもあります。田名網が戦争中に記憶した金魚をモチーフにしたキャラクターも多数登場します。これは田名網の祖父が飼っていた金魚の鱗にアメリカの落とした爆弾の光が乱反射する光景と深く関係しています。まるで動物的な生命を宿したかのように描かれている松は、田名網が44歳の時に胸膜炎を患い死にかけた時に見た幻覚に由来しています。

本展では、横3mの大作の新作「夜桜の散る宵闇」を含む新作ペインティングの他、大型の立体作品などを発表する予定です。新作の立体作品は、2012年に制作された「赤い太鼓橋」をモチーフにした一連のシリーズの新作で、渡ることのできない橋の上に飛行機に乗ったキャラクターが鎮座している力作です。田名網は、「暗い過去の体験も自身の性格によってポジティヴな表現に変換してしまう」と語っていますが、ここに描かれた世界は、善も悪も、苦悩や恐怖さえも超越した田名網にとっての究極の楽園なのかもしれません。

本展に寄せて、10月25日(土)18:00−20:00にアーティストを囲んでオープニングレセプションを開催致します。
皆様のご来場を、心よりお待ち申し上げております。


全文提供:NANZUKA
会期:2014年10月25日(土)~2014年12月13日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:NANZUKA
Last Updated on October 25 2014
 

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