佃弘:リコレクション |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 8月 20日 |
佃弘樹による新作個展「リコレクション」。今回の展覧会では、新作のドローイング作品約10点の他、ギャラリーのメインの壁面を使って約8メートルのウォールドローイングを発表致します。 佃弘樹は、1978年香川県生まれ、武蔵野美術大学映像学科を卒業したアーティストです。今年の4月には、アートフェア東京における若手作家のアワードであるベーコンプライズを受賞し、また同賞の審査委員を勤めたフランチェスカ・ハプスブルグ氏が代表を務めるティッセンボルネミッサ現代美術財団にも作品が収蔵されました。 佃が、今回の展覧会において発表する作品は、自身が一貫して追い求めている平行世界を表したシリーズ「Imaginary Land」の新作です。幼少期に色弱の気があった佃は、身の回りの風景を、色彩よりも陰影とフォルムに頼って見てきました。気温や湿度といった要因で劇的に変化する風景は、その独特の視力によってハイコントラストに変換され、しばしば佃少年に非現実の世界をもたらしました。この時、畏怖の念をもって佃の脳裏に焼き付いた光景は、現在の佃の作品における重要な原風景となっています。 佃の作品において最も重要な要素は、光と影の構成です。白黒を貴重とする佃のドローイングが、どこか夜の風景を連想させるのは、私たちの視覚と自然の光に関する佃の研究成果を反映しています。一方で、佃の描く風景が幾何学的なイメージを含んでいるのは、自然をよりシンプルに、少ない情報量で捉えようとするアーティストの視線があります。「自然を円筒、球、円錐として捉えなさい」とセザンヌは語っていますが、佃の持つ幻視も同じベクトルにあると言えるでしょう。 今回の展覧会によせて、佃は次のように語っています。 「私が無意識のうちに見てきた風景から空想の世界を作り出しているのか、それとも私が空想していた世界が突如として私の目の前に現れるのかは解りませんが、そういった私の中に刻まれた風景の断片を記憶(recollection)として表現できればと思います。」 全文提供: ナンヅカアンダーグラウンド |
最終更新 2009年 9月 26日 |