PLATFORM2011:浜田涼・小林耕平・鮫島大輔 -距離 を はかる- |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 4月 07日 |
心はいつも格闘している。社会問題や世界情勢を憂い、歴史や芸術に思いを馳せ、手にする愛や望む未来に心寄せては、またざわめく。“自分という実感”を新たな角度で考える一筋の手立てとして現代美術と向き合ってみよう。それが現代を生きる私たちの心が生み出した、私たち自身の美術である以上、現代美術は今の自分と切り離された遠いところにある美術ではなく、いつもの自分の領域に存在する美術、自分に内在する美術として、きっと何かを示してくれるにちがいない。PLATFORMは、現代美術で考え、現代美術を実感する場。2011年の第2回目は、浜田涼と小林耕平、そして鮫島大輔。写真で自身と世界との距離感を問う浜田。明確でありながら掴みどころのない映像によって観者の思考をするりとかわす小林。日常風景を淡々と把握し奇妙な空間を描く鮫島。三者の世界を前に、あなたは何を見、何を考え、そして何を実感するだろうか? 展覧会の見どころ 第2回にあたる2011年の「PLATFORM」では、「私と世界との距離感」をテーマとし、浜田涼、小林耕平、鮫島大輔を取り上げます。それぞれ過去作品から近作まで、一部屋1作家での展示を展開します。会期中はギャラリートークやパフォーマンスなど様々なイベントを予定しております。 【出展作家】 ◆小林 耕平 Kohei KOBAYASHI (1974~) ◆鮫島 大輔 Daisuke SAMEJIMA (1979~) 【関連プログラム】 ※1~5はすべて申込不要、参加無料。ただし展覧会鑑賞券が必要です。 2.トーク「それぞれの距離」浜田涼×小林耕平×鮫島大輔 3.パフォーマンス「運送としょうゆとかぐや姫と先生とライオンと吉田くん」 4.パフォーマンスライブ「near, far, near, far」 5.鑑賞プログラム「テーマ:もののかたち」 ※全文提供: 練馬区立美術館 会期: 2011年4月16日(土)-2011年5月29日(日) |
最終更新 2011年 4月 16日 |
ボールのような、真ん丸の球体に、住宅街や夜の街を描いた鮫島大輔。作品の回りをくるりと回りながら、一点透視法の遠近が球体でも成り立っていることに驚きつつ、作品をまじまじと見つめてしまう。目の前の、手でつかめそうな球体の中に全世界が映りこんでいるような錯覚。かと思うと、平面の絵画では、カバーで覆われた車などが描かれる。観てわかったつもりになったり、見えないものが描かれていたり、もどかしくて見つめてしまう。
浜田涼は、ピントのぼやけた写真のような作品。カラーコピーやフィルムなどが使われているのももあれば、絵具で描かれたものもある。遠すぎてぼやけたり、動いていて見えなかったり、おぼろげなだったはずのものが画面に固定されているギャップにどきりとさせられる。
小林耕平は、映像作品とインスタレーション・パフォーマンス。人影が幾何学的な線でできた空間で動き、位置関係があやふやになる作品や、作者のパフォーマンスとナレーションが噛み合いそうになりながらズレていく映像など、これもまた観ているつもりで観えていないような気にせさられる。鮫島、浜田、小林の三人とも、個々に表現は違いながら、おぼろげなものを固定しようとする姿勢が見えてきて面白い。観賞後、色々なものが見えなかったと思いながらも親近感を覚えてしまうのではないだろうか。