| EN |

都築響一:HELL
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 3月 30日

《Wat Pha Lak Loi》2006年
画像提供:ZENSHI|Copyright© Kyoichi Tsuzuki

都築響一の写真には、人間の生き様がある。
喜怒哀楽、趣味嗜好、老若男女が生きる曼荼羅世界だ。

タイ各地の寺院にある地獄のテーマパークは、一般の旅行ガイドブックには紹介されない「穴場」である。信仰心や教育上の目的のため、あるいは怖いもの見たさの者達が訪れるこの場所は、地元の人達の手によって作られた巨大なセメントのオブジェで溢れている。

デフォルメされ色鮮やかに塗装されたアマチュアチックな造形は、どれもリアルな恐怖を喚起するが、同時にどこか懐かしくほのぼのとした情景を浮かび上がらせている。それは地獄というテーマ性を除けば、現地の人達の営みそのものを表しているようにも見える。誰に与えられたでもない世界の片隅で、どこにでもいる人間達が、どこにでもいるアーティストとして暮らしている、そんな日常の姿も見えてくる。

決してありふれてなどいない、どこにでもあるアートを撮り続ける都築響一の極楽地獄には、並みのアートでは敵わないのだ。

この展覧会は、稲荷町の GALERIA DE MUERTE と 神田岩本町の ZENSHI による同時開催の企画です。会場日時については違いがありますので、各会場の詳細をお確かめください。会期中各種イベントや特別展示の開催も予定しています。

都築響一
1956年、東京生まれ。76年から86年までポパイ、ブルータス誌で現代美術、建築、デザイン、都市生活などの記事をおもに担当する。89年から92年にかけて、1980年代の世界の現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』を刊行。以来現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆活動、書籍編集を続けている。1993年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』刊行。1996年発売の『ROADSIDE JAPAN』で第23回・木村伊兵衛賞受賞。昨今は、2001年の横浜トリエンナーレへの参加や、2010年広島市現代美術館「HEAVEN 社会の窓から見たニッポン」など国内外で美術展を開催している。また、この度の展覧会に関連する書籍としては「HELL ~地獄の歩き方<タイランド編>」が2010年に洋泉社より刊行されている。

※全文提供: ZENSHI


会期: 2011年4月22日(金)-2011年5月28日(土)
会場: ZENSHI / GALERIA DE MUERTE(東京都台東区東上野3-32-1-3F・13:00 - 19:00 水・日曜休・http://www.galeriademuerte.com

最終更新 2011年 4月 22日
 

関連情報


| EN |