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青野正:テツモジ
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 3月 05日

《鉄ぐるみ1号 クマ》 2010年|鉄|31 x 20 x 14cm 画像提供:メグミオギタギャラリー copy right(c) Tadashi AONO

青野正は1955年徳島に生まれ、東京造形大学彫刻科を経て鉄によるオブジェ制作というスタイルを確立し、ロダン大賞展やフジサンケイ・ビエンナーレ現代国際彫刻展をはじめ数々のコンクールで受賞を重ねてまいりました。モニュメント的な大型作品で知られる青野ですが、近年は手に収まるほどの大きさの作品にも制作の裾野を広げています。青野正「テツモジ」展では、鉄のオブジェを文字に見立てるという新たな切り口に挑戦します。 人が文字と関わり始めて5千年以上の時が流れ、現在私たちの周りには多くの文字が溢れています。パソコンや携帯電話の普及に伴って、絵文字や記号を組み合わせた顔文字など新しい文字を見る機会が増えました。もしかすると、私たちには言葉では表しきれないものや言葉にならない思いを絵や物に託し、それを読み解くことを楽しむ遊び心が備わっているのかもしれません。 今展ではクマなど動物のモチーフを中心としたオブジェ、「テツモジ」たちをギャラリーの壁面に配します。ぬいぐるみにも似た不思議な愛嬌をもつオブジェを壁面文字に見立て、象形文字をも彷彿とさせる鑑賞空間をつくります。それらは壁に張りつけられた「いけにえ」のようでもあり、古の薫りただよう世界へと見る者をいざないます。 若い世代の作家がコンセプトや真新しい表現方法を模索するのに対し、青野は鉄という私たち人間が長く関わってきた素材にこだわり、その表情を探究し続けてきました。それはまさにものづくりの原点とも言える姿勢です。鉄というクールな金属のテクスチャが、青野の手にかかると木のような生物的なぬくもりを帯び、長久たる時間さえ感じさせます。 温かな鉄のオブジェによる、ユーモアあふれる古の標「テツモジ」展をどうぞご覧賜りますようよろしくお願いいたします。 ※全文提供: メグミオギタギャラリー

最終更新 2010年 4月 22日
 

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