千葉正也:生きていたから見れた素晴らしい世界 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 12月 29日 |
観察する。このことは千葉正也の絵画作品において重要な位置をしめています。どのような物体を、どのように描くことが鑑賞者にどんな風に働きかけるのか、千葉はこのことを観察するために作品の中に描くモチーフを実際に目の前に置いて制作します。 「タートルズ・ライフ」と名付けられた作品には、作家のペットである亀の水槽の周りに貼られた女性ミュージシャンのポートレイトに囲まれ、彼女をかたどった木彫りの人形が亀の前に置かれている様子が描かれています。そこにはペットへのまなざし、ミュージシャンへの甘い憧れなどのある種ポジティブな印象や、理由もなく強制的に亀に人間のポートレイトを押し付けているその光景の不条理さが漂っています。あるいは「ライオン見物」という作品では木の塊に彫刻をほどこしたものとライオンにまつわる写真を同一平面上に描くことによって、複数の空間が一枚の絵画の中に描かれた奇妙な視覚効果を生み出しています。 みずからがテストケースとして徹底的に検証した多種多様な視覚的、あるいは心理的な作用を人間にもたらす千葉特有の方法が作品の特異性の裏づけとなっているのです。本展では新作絵画10数点を展示する予定です。 千葉正也は1980年神奈川県生まれ。主な個展に2008年「三ツ境」シュウゴアーツ、主なグループ展に2009年「Twist and Shout」Bangkok Art and Culture Center、「福武ハウス in 越後妻有アートトリエンナーレ 2009」、「ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」原美術館、2008年-2010年「ネオテニー・ジャパン-高橋コレクション」鹿児島県霧島アートの森など、2008年「VOCA展」上野の森美術館、2007年「ritual」東京ワンダーサイト渋谷、2006年「4人展」シュウゴアーツなど。 シュウゴアーツでの2年ぶり2回目の展覧会となります。 ※全文提供: シュウゴアーツ 会期: 2011年2月12日(土)-2011年3月12日(土) |
最終更新 2011年 2月 12日 |
入口正面、会場を入るのを拒むように置かれた大画面に出会う。
山脈を背景にした棚に置かれる、オブジェたちが描かれていて、一つ一つ丁寧に見ていきたくなる。そして、並んだものたちから、画面に描かれた「ここ」がどこなのかを探ってしまう。描かれたものが何故ここにあるのか、どんな人物の居る場所なのか、という問いは、展覧会を観ている間中続くだろう。画中のものを凝視するうちに、画面中のものたちから自分が観られている気持ちになっていくのも面白い。
日常から迷子になりたい時にお勧めの展覧会。