三瀬夏之介さんは若手平面作家の登竜門であるVOCA賞を受賞するなど、現在もっとも注目されている作家の一人です。2007年、C・スクエア第81回企画のグループショーである「日本画滅亡論」展に在外研修先のイタリアで描いた大作「日本画滅亡論」で臨んだ三瀬さんが、ちょうど2年の後、同じC・スクエアを舞台に個展で最新成果を問います。今回は東アジア固有の画材である墨を主として用い、この作家ならではの水墨表現に挑みました。作品はいくつかのパートにまとまりを持っていますが、会場を埋めつくす作品群はそれぞれが響き合い、全体でひとつの作品（「問月台」）としてご覧いただけます。展覧会タイトルは仙人が月と問答をする楼閣との由。作家が制作を通じてどんな問答を交わしたのか、ぜひ皆さんの眼を通してお確かめください。

全文提供：　中京大学アートギャラリー C・スクエア