現代美術、パフォーマンス・・・ ジャンルを越境する表現者 高嶺格(1968 年生まれ)は、映像や音、コンピュータを用いた仕掛けなど、ニューメディアを取り込んだインスタレーション作品、さらにパフォーマンスなど、身体と表現を結びつける作品を次々発表してきました。その活動はダンサーや音楽家とのコラボレーション、また近年は自身が自ら舞台を手がける演出家として活動するなど、ジャンルを越境する表現者として注目される活動を展開しています。
目を閉じるな 目を見開いたまま、すべてを見ようとするな (高嶺格「開閉/閉塞」) 高嶺は日常から沸き上がる疑問に向き合い、これに取り組む過程をひとつの作品として昇華させていきます。エコロジーやリサイクルなど現代社会が目を向けるキーワードを反映していく作品は、ひとりの表現者として社会の不条理に向かう、等身大の問いかけであり挑戦でもあります。本展はこれまでまとまってみる機会のなかった2000 年代初頭の作品から、《God Bless America》、《ベイビー・インサドン》などの代表作、さらに場や参加者など彼を取り巻く要素を吸収し反映する、高嶺の目下の関心が形となった新作までを見渡すことのできる機会です。人間の行為に潜む矛盾や非合理に目をそらさず、批判もユーモアも込めた生々しい表現が立ち現れてきます。
広島会場ならではの新バージョン、新作が登場 美術館のコレクションから高嶺が選んだ作品と、高嶺による映像を組み合わせる作品《物々交感論》。本展では当館のコレクションとの共演という新バージョンで展示いたします。また、市民とのワークショップから完成した新作で、展覧会のサブタイトルでもある《とおくてよくみえない》など、アーティスト・高嶺格のとどまることのない新たな挑戦をご覧いただきます。
高嶺 格(たかみね・ただす) 1968 年、鹿児島県生まれ、滋賀県在住。 京都市立芸術大学工芸科漆工専攻卒、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)修了。1990 年代初頭よりパフォーマンスを含む活動を始め、ダムタイプの作品にも参加。映像、粘土、陶、インスタレーション、パフォーマンス等さまざまなメディアを用い、分野を横断する表現を行う。振付家・金森穣のダンス作品の舞台美術、音楽家・大友良英とのコラボレーションのほか、自らが演出を手がける舞台作品も発表し、演出家としても活動する。2011 年にはIKON ギャラリー(イギリス)での個展を控える。主な作品所蔵先に、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、金沢21 世紀美術館、熊本市現代美術館、横浜美術館などがある。
おもな個展 2010 「スーパーキャパシターズ」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、香川) 「Good House, Nice Body 〜いい家・よい体」(金沢21 世紀美術館、石川) 2008 [大きな休息]明日のためのガーデニング1095㎡(せんだいメディアテーク、宮城) 2007 「Baby Insa-dong」(AD&A gallery、大阪)
おもなグループ展 2010 あいちトリエンナーレ2010(七ッ寺共同スタジオ、愛知) 2005 横浜トリエンナーレ2005(山下ふ頭、4号上屋、神奈川) 2004 釜山ビエンナーレ2004(釜山市立美術館、釜山、韓国) 2003 第50 回ヴェネツィア・ビエンナーレ「The Dictatorship of Viewer」(アルセナーレ、ヴェネツィア、イタリア)、京都ビエンナーレ2003関連展示(NPO丹波マンガ記念館内坑道跡、京都)
※全文提供: 広島市現代美術館
会期: 2011年4月23日(土)-2011年7月10日(日) 会場: 広島市現代美術館
|