Aiko MIYANAGA |
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Published: October 19 2012 |
宮永愛子(1974~)の作品は時間と共に変化していきます。例えば、2003年に発表した「靴」を題材とした作品で用いられているナフタリンは常温で昇華するため、最初の形が保たれません。《シンデレラ》と名づけられたその作品は、誰もが知っているように夜中の12時を過ぎて魔法の切れた主人公が王宮の階段に落としていったガラスの靴を直喩すると同時に、戻ることのない時間の非情な流れを象徴的に示したものでした。有名な物語と自ら崩れていく靴、という組み合わせによって自己の方法論を印象づけた宮永は、次の段階では、窯から出た焼物が長期間きれぎれに奏でる微かな音(貫入)をテーマとしたような作品も試みています。事物の形姿が変化する様が聴覚を通して認識されるという体験を、美術作品という枠組で普遍化しようとしたのです。 変わり続けていく自身の作品を思い描いて、宮永は「なかそら」という言葉を紡ぎ出しました。古語に「なかぞら」という言葉があります。それは、どっちつかずで、心が落ち着かない様を意味しますが、宮永の「なかそら」も、それに近似した未だ揺らぎのある言葉です。そしておそらく、万物は全て変化を続けながら存在している、ということを象徴する宮永の作品は、全て「なかそら」の状態にあるのかもしれません。 本展は、そのような時と共に移ろいゆく姿を表し出す作品から、去年発表した金木犀の葉脈を用いて作り出した巨大な布状の作品《景色のはじまり》、そして新作まで、「なかそら」という言葉を介しながら、見る人の感性を揺るがすような6つの作品群によって展観いたします。 会期:2012.10.13~2012.12.24 時間:10:00-17:00、Fri 10:00-19:00 closed on Monday 会場:The National Museum of Art, Osaka |
Last Updated on October 13 2012 |