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松蔭浩之:KAGE
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 9月 06日

《HOLE - YOKO》2010年|DVD, 7min. 56sec.
(c) MATSUKAGE Hiroyuki Courtesy Mizuma Art Gallery

本展「KAGE」で松蔭が提示するのは、太陽が消滅し風が止まった時代のアート。松蔭は最近、「近未来についてよく考える」と言います。現在からの「近未来」を思い描くことではなく、その言葉がリアルに現存していた過去を考察するということ。それは、高度経済成長時代や冷戦時代、すなわち松蔭自身の幼少期、思春期にあたる70年代から80年代バブル期前夜・・・夢や希望を映し、一方では不安を広げた「近未来のあった時代」を再考しつつ、現代を描出するということです。

光や存在感、躍動感に満ち溢れた絶対的アイコンがつかみにくくなった現代において、何を被写体とするべきか。 松蔭はここであえて、「すべての存在を立証する“影”にフォーカスする」ことで、新しいクリエイティブに踏み込みました。「KAGE:影」とは、光や物体にさえぎられて形成されるいわゆるShadowだけでなく、遺影、御影などの絶対的なイメージ、また影響力、さらには影武者などの「にせもの」や裏方、隠され闇に葬られた事実、社会や心の暗部などを指します。忘れ去られつつある過去を「影」と認識して向き合い、現代に再生することで、新しい光を映し出すことができるのか。

本展では、かつて圧倒的なアイコンであった三島由紀夫や山口百恵、さらに若き日のオノヨーコなどをモチーフに、松蔭のごく個人史的な思春期のアイデアを、写真、オブジェ、映像からなるインスタレーションに形を変えて作品へと昇華させます。不親切なまでにパーソナルなアイコンが散りばめられた会場で、鑑賞者は困惑とともに、「影:image」を膨らませることとなるでしょう。それもまた松蔭自身が確立してきた、「自身を追体験させる」という表現方法の一環であるとも言えます。

過去、様々なメディアを駆使して多くの人々を魅了してきた松蔭浩之の渾身の新作展「KAGE」をご高覧いただきたく、ここにご案内を申し上げます。

全文提供: ミヅマアートギャラリー


会期:2010年9月15日(水)-2010年10月16日(土)

最終更新 2010年 9月 15日
 

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