展覧会
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執筆: 記事中参照
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公開日: 2017年 3月 08日 |
Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2017年3月10日[金]から3月26日[日]まで、美術家・山岡敏明による個展「 i was born 」を開催いたします。 1995年に東京造形大学を卒業した山岡敏明(やまおか・としあき/大阪・1972~)は、2003年より「GUTIC STUDY (グチック考)」とする制作・発表に取り組んでいます。山岡は、「形象-フォルム」に着目し、「あったかもしれない可能性」としての「カタチを探す」思索と行為をおもに平面上に展開しています。「GUTIC(グチック)」とは山岡によって描き出された、ある種の形象やフォルムに関して、作家自身が名付けた仮の呼称です。 今回の展覧会タイトルは、吉野弘の詩「I was born」からとられています。 この詩の中で、英語を習ったばかりの「僕」は、妊娠した女性とすれ違い、ふと「<生まれる>(=I was born)ということがまさしく<受身>である訳を諒解」します。父にその発見を告げると、父は訥々と、2~3日で死ぬ蜉蝣(かげろう)の話をしたあと、「僕」の母が僕の出生後間もなく死んだことを告げます。父の話は、口すら退化し、胸の方まで卵にふさがれた雌の蜉蝣と「母」を重ねた、強烈なイメージを「僕」に思い描かせます。 山岡のGUTICは、近年、生物の器官のような有機的な輪郭・質感をもった、独特の「カタチ」を画面上にあらわしています。これは、世に生まれ出ることのなかった『もうひとつの現実』としての形象であり、それは偶然的で「不条理な」出来事や選択の累積による結果ではないかと彼は考えます。その言葉の裏を返せば、私たちが現実世界で目にしているあらゆる形象、あるいは私たちの身体そのものが、ある種の「不条理さ」の連続と累積の上にかろうじて成り立っているものとも言えるでしょう。 すべての生物は、なぜそのような形態で生まれなければならなかったのか、という不条理を生まれながらに引き受けた状態として、いわば「生まれさせられた」ものであるとも言えるかもしれません。山岡によって生み出された形体=あったかもしれない「もうひとつの現実」の姿を通して、私たちが目にしている「たったひとつの現実」の揺らぎを目撃する時間となれば幸いです。
http://www.galleryparc.com/exhibition/exhibition_2017/2017_03_10_yamaoka.html
全文提供:Gallery PARC
会期:2017年3月10日(金) 〜 2017年3月26日(日) 時間:11:00 - 19:00 金曜は20:00まで 休日:月曜休廊 ※ただし3月20日(月・祝)は開場 会場:Gallery PARC
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最終更新 2017年 3月 10日 |