友成哲郎:鳥獣飢餓 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集3 |
公開日: 2012年 7月 20日 |
「新世代への視点」は、銀座・京橋を中心とした12 画廊の共同開催による展覧会で、各画廊が推薦する若手作家の個展を同時期に開催いたします。ギャルリー東京ユマニテは1986年生まれの友成哲郎(ともなり・てつ ろう)を紹介いたします。東京造形大学大学院造形研究科美術研究領域修了、「前橋アートコンペライブ 2010」で銀賞を受賞するなど、今もっとも注目される若手作家の一人です。ギャルリー東京ユマニテでは、昨年のアートフェア「ウルトラ 004」で紹介、ユニークな作品はアートファンのみならず、小さな子どもたちも楽しませてくれました。今回が初めての個展となります。 友成の作品は、一貫して人間に鋭い視線を投げかけています。「人は常に何かに飢え、満たされない気持ち をかかえているのではないか」そう問いかけながら、日常の中に垣間見える人間の苦しみや弱さを作品のテーマにしています。擬人化された動物の彫刻によって、ユーモラスに、時に皮肉っぽく人間の内面が浮き彫りにされています。 サラリーマンや女子高生などに擬人化された鶏たちが、その社会的役割に応じたファッションに身を包み、終わりのないドーナツ状の道を必死に走っています。皆先を急ぐあまり、地面に横たわり眠る雛には眼もくれません。あわただしい現代社会を生きる私たちがいかに他人に無関心であるか、見る者に再考をうながします。それぞれの鶏には名前が付けられており、前方を見据えて一心不乱に走るサラリーマンは「鶏井直進(けいい・ちょくしん)」、不安げな表情でよそ見をしながら走る若者は「鶏戸惑(けいと・まどう)」など、どこかで目にした事がありそうな顔ぶれが並びます。 今回の展示では、数種類の粘土を使ったテラコッタの新作も発表します。鋭い視線の男性、うつろな表情の女 性、どこか孤独感を漂わせる人物は皆モグラの姿をしています。人知れず地中でひっそりと生きるモグラの姿 は、他人と深くかかわることを避け、心の闇を表に見せることなく生きる現代人と重なるのかもしれません。 直径 1.8m の大作を中心に、FRP や粘土の立体作品約 10 点を展示、友成独自の視点でとらえられた様々な 人間像が並びます。今回が初個展となりますので、ぜひご高覧いただけますようお願い申し上げます。 [作家コメント] [作家プロフィール] 全文提供:ギャルリー東京ユマニテ 会期:2012年7月23日(月)~2012年8月4日(土) |
最終更新 2012年 7月 23日 |