土屋貴哉(1974年東京生)は、東京芸術大学絵画科(油画専攻)在学中より、「絵を描く前に考えることがあるのではないか」との問いからスタートし、映像、写真、平面、立体、インスタレーション、デジタルなど様々な媒体を駆使して作品を展開してきました。
既製品(すでに在るもの)に極力手を加えず、かつ高い完成度で生み出される土屋の作品は、既成の約束ごとを破り、心地よい違和感を提示します。
イムラアートギャラリーでは初個展となる本展では、過去作から最新作品まで、多媒体による土屋の作品世界を展覧いたします。
アーティスト・ステートメント 人はいつも自分の見たいように世界を見てしまう、といわれます。けれどこれは、こう見たいとさえ思えば世界はそう見えてくる、という積極的な可能性のあらわれともいえます。私の興味は、まさにこういった人の知覚の柔軟な性質にあり、また、この知覚をとおして立ち現れる世界のあり方にあります。
そして私がおこなっていることとは、この知覚と世界との関係性をさぐる行為のくりかえしといえます。それは、真実とは何かといったこととは違い、この目の前に広がる世界の見え方をいかに更新しえるか?という問いに対する素朴な実践ともいえます。
ドンペリ、巻尺、植木の剪定、消しゴム、ボーリング、オセロ、海水浴、サッカーグランド....、これらは今回の作品群に用いられる素材たちです。そこには一見まるで共通項をみつけることはできないかもしれません。ですが、それらは私の知覚を通して切り取られた世界の断片であり、それらおのおのの仕組みに向けられた私の知覚方法の共通項が、それらに因果関係を生み、この世界を支えている絶妙なバランス運動の隠れたパラメータにアクセスするためのまなざしとして機能するのではないかと思っています。
このような一連の態度から作られる私の作品たちは、必ずしも特別な方法により作られる訳ではないので、ときに不毛に映るかもしれません。けれど、手荷物は軽いほうがより深くダイレクトにこの世界を眺められるようにわたしには思えるのです。
土屋貴哉 Takayoshi TSUCHIYA 1974 東京生まれ 2001 東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了 2002-05 東京芸術大学美術学部非常勤講師 2006- 阿佐ヶ谷美術専門学校講師 2010- 早稲田大学川口芸術学校講師
個展 2001「 小さく前へならえ」フタバ画廊(東京) 2002「 どうやらうっとりしているようだ」フタバ画廊(東京) 2005「 書写ラブレター」フタバ画廊(東京) 2006「 タイムサービス」中崎透遊戯室(東京) 2007「 モデルチェンジ」switch point(東京) 2009「 マイナーチェンジ」switch poin(t 東京) 2011「 バランスパラメータ」イムラアートギャラリー(東京)
主なグループ展 1999「 ヒルサイドウエスト ドローイング展」ヒルサイドウエスト(東京) 「 共存する空間」東京芸術大学大学美術館(東京) 2001「 Metabolic Expressions」東京芸術大学大学美術館(東京) 「 群馬青年ビエンナーレ」群馬県立近代美術館(群馬) 2002「 Ongoing」六本木旧三河台中学校(東京) 「 Off-Side : Football is in Our Life」gm/graf(大阪) 横浜美術館アートギャラリー(神奈川) 2003「 act00」SPICA MUSEUM(東京) 「 meeting point」佐藤美術館(東京) 2004「 Ongoing vol.3」豊島区立旧朝日中学校(東京) 2005「 ReOLYMPIC」CASO (大阪) 2006「 桐生再演12」東洋紡織メディアサイト(群馬) 「 CET06 : フラットな世界以降の新しい美術の流れ」White House(東京) 2008「 サスティナブルアートプロジェクト」重要文化財旧岩崎邸(東京) 「 多面ミラー」日本ホームズ住宅展示場(東京) 2009「 アンデポンタン展」和光大学(神奈川) 2010「 双曲線」switch poin(t 東京) 2011「 方眼紙と温室」switch poin(t 東京) 「 ローカルルール」人形町Vision'(s 東京)
全文提供: イムラアートギャラリー
会期: 2011年9月17日(土)-2011年10月8日(土) 会場: イムラアートギャラリー東京 対談 ・ オープニングレセプション: 2011年9月17日(土)18:00~土屋貴哉 x 楠見清( 首都大学東京准教授)
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