「作家ドラフト」は若い才能の発掘・支援を目的に行う京都芸術センターの公募プログラムです。審査員に様々な分野の専門家を迎えることで、その独自の視点から、斬新な表現を試みる若手作家の作品を積極的に募集することを特徴としています。今年の審査員は劇団チェルフィッチュを主宰する岡田利規。劇作家としてはもとより、近年では小説の分野でも高い評価を得ています。
今回は2011年3月21日-6月20日の期間で作品の展示プランの募集を行い、集まった115件の応募の中から選ばれた潘逸舟・小沢裕子の二人の作家による個展を、それぞれギャラリー北・南を会場に開催します。
潘逸舟はこれまで、自身の出生や生い立ちを背景に、映像やインスタレーションを用いて、「個人」という存在への疑問を起点とした創作活動を手掛けてきました。一方の小沢裕子は、ウェブら入手した映像に自身で創作したテキストを付け、自分と他者や、「見る/見られる」の関係をテーマにした作品を主に制作しています。二人は出発点こそ違うものの、ともに自己を問う作家であり、それぞれの作品の中で「個人という形」を再発見することを試みています。
岡田利規は以前、「作家ドラフト2012に期待すること」(『明倫art5』〔京都芸術センター 2011〕収録)と題したコラムで、以下のように書いています。
「わたしは自分の作品が主観的なものを起点としたものだと思う」
作家二人の展示プランは、ともに自己を出発点とすることで、岡田氏の作品に対する意識と確かに交差しています。それぞれの「主観」をもとにした作品から何が生まれるのか。ご期待下さい。
[作家プロフィール] 潘逸舟 Han Ishu 1987年中国上海市生まれ。1997年より青森県に住み、現在東京在住。 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻在学。
[個展] 2004年 「HUMANITY」空間実験室スぺース B/青森 2005年 「INTERVAL」空間実験室スぺース A/青森 「1300000000の星」弘前市野外/青森 「Lonely Island」弘前市立百石町展示館/青森 2009年 「たとえば、兎とシャンプー」nagune/東京 2011年 「Alien」 under35 新・港村/神奈川
[グループ展] 2006年 「thinking about dog’s death #5」art & river bank/東京 2007年 「美の環 日中韓交流展」東京芸術大学/東京 2008年 「北東北アートネットワーク」KANDADA/東京 2009年 「No man′s Land」旧在日フランス大使館/東京 「Prize 2009」東京芸術大学上野校/東京 (平山郁夫奨学金賞) 「さくらびアートプロジェクト」長野市立桜ヶ岡中学校/長野 2010年 「YAKINIKU アーティスト・アクションin 枝川」東京朝鮮第二初級学校/東京 「Local to Local 2010」Baekje Hospital Building/韓国釜山 「ビデオアートミーティングin 金沢」まちやゲストハウス/石川 「東京藝術大学先端芸術表現科卒業 | 修了制作2010」BankARTStudio /神奈川 [その他] 2010~2011年 「ショーネット・ヒューズ青森プロジェクト」にダンサーとして参加
小沢裕子 Ozawa Yuko 1984年千葉県生まれ。現在東京在住。 2009年武蔵野美術大学造形研究科美術専攻油絵コース卒業。 [個展] 2010年 「スピーチ」現代HEIGHTS Gallery /東京 2011年 「とってつけたようだ」現代HEIGHTS Gallery /東京
[グループ展] 2006年 「ForRent!ForTalent!2」三菱地所アルティアム/福岡(入選) 2007年 「武蔵野美術大学造形学部卒業制作優秀作品展」武蔵野美術大学/東京(優秀賞) 2008年 「群馬青年ビエンナーレ2008」群馬県立近代美術館/群馬(入選) 2010年 「群馬青年ビエンナーレ2010」群馬県立近代美術館/群馬(入選) 「OngoingFES2010」Art Center Ongoing /東京 2011年 「富士山と富士山」Art Center Ongoing /東京 「虎の間vol.2~映像祭の巻~」galleryAMP /高円寺 「OngoingFES2011」Art Center Ongoing /東京 「藝術家轟ュw(足偏に八)展」一年画廊/台北 「TERATOTERA祭り」バウスシアター/東京
審査員プロフィール 岡田利規 Okada Toshiki 1973年生まれ。演劇作家、小説家、チェルフィッチュ主宰。 97年に「チェルフィッチュ」を結成し、横浜を拠点に活動。05年『三月の5日間』で第49回岸田戯曲賞を受賞。07年デビュー小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』を発表、翌年第二回大江健三郎賞受賞。カンパニー作品は、国立国際美術館30周年記念公演、森美術館主催「六本木クロッシング展」、あいちトリエンナーレ2010に参加するなど、演劇のみならず多方面へ活動を展開している。その他、桜美林大学、早稲田大学、四谷アート・ステュディウムなどでのワークショップやレクチャー等、講師歴も多数。11年2月、最新作『ゾウガメのソニックライフ』を発表。また11〜12年は11カ国20都市以上を回るツアーが控えている。
審査員:岡田利規(劇作家・小説家/チェルフィッチュ主宰) 主催:京都芸術センター
展覧会詳細 全文提供:京都芸術センター
会期:2012年2月4日(土)~2012年2月26日(日) 時間:10:00-20:00 休日:会期中無休 会場:京都芸術センター
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