FUTURE PRIMITIVE |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 11月 29日 |
初めて2人の作品を見た時に、未知の世界に入り込んでしまったような感覚を得た。谷澤の白い布に覆われた表層のイメージが無くなった人形たちは、表情を隠しながらよちよちと自由に歩き回り、見えない口元からはしかっりとした口調で話す声が聞こえてくるような奇妙な妄想をかきたてられた。彼女が好んで使用するモチーフのひとつ、付け爪できた美しくも不思議なオブジェはその世界の供華のように見え, それはクリーンで音が少なく……。私の妄想癖が終わらない。 池添によって創られた古代的な植物や生物がおりなす木の上で、アスレチックな動きをしている男しかいない世界。ユーモラスながらも過酷、そして生に対して貪欲な世界。異界のように感じながらも、今現在の自分たちのおかれている現実のようにも見える。 谷澤によるフューチャーと池添によるプリミティブ、あるいは池添によるフューチャー、そして谷澤によるプリミティブが同空間に在ることで、観る者を自己を探る旅にいざなうのではないだろうか?谷澤はひとつの方法にとらわれずタブロー、オブジェ、鉛筆によるドローイング、時にはパフォマンスなど複数のアプローチと手段をとり、自己とそれをとりまく世界の関係を追求しています。新作は付け爪でできた彼女自身の頭部、羽毛のオブジェ、表層を布で覆われた人形たち、立体になったドローイングなどが出品されます。 池添は日本での展覧会に先立ち2007 年、08 年と続けてニューヨークなどアメリカで発表しており、独特な世界観が、海外から高く評価されています。今回新作のモチーフは人体が無くなり、古代蓮の存在に想起されて描かれた、沼に広がる見たこともない植物郡。それはトーテムポールのように、あるいは生物のように観客を視ていたり、まっすぐ天に向って成長していて、古代の得体の知れない生命力のようにも感じられます。他に水彩で描かれたドローイングなどが出品されます。 谷澤 紗和子 S a w a k o T a n i z a w a 池添 彰 A k i r a I k e z o e ※全文提供: MA2Gallery |
最終更新 2010年 1月 15日 |