| EN |

辻 可愛:どろどろの触手
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 6月 17日

 

WISH LESS galley では、辻可愛の個展「どろどろの触手」を開催いたします。記憶の曖昧なイメージを探るような情景をミステリアスに描いたペインティング作品の数々をご紹介いたします。
辻の作品は、一見ふわりと柔らかい印象を与える反面、どこか奇妙なダークネスを感じさせます。はっきりとしない”にじみ”や”染み込み”といった手法を使い、部分を不明瞭に仕上げ、さらに絵具の横に突如現れる空白部分が緊張感を与えます。絵を見渡すと画面上でなにかが動いたような錯覚をおぼえ、細部を改めて見直したくなるはずです。それは、普段意識していなかった物事がふと気になり出し、これまでと違った見え方を生み出すきっかけに似ています。そして日常の中で記憶される、あるいは忘れ去られる事柄。その基準はどのようなものか?辻は今回その疑問を起点にします。

「ある出来事を私はおぼえていて相手はおぼえていなかったり、部分部分違っておぼえていたりすることがある。
なぜそのように記憶したのか?その枠組みはどう決めているんだろう。
その傾向は、今見ているものに適用されていくという反転も引き起こすように思う。
この事態はこの枠にぴったりだから、それにおさまるように理解しよう、というふうに。
なにかが起こったような、もしくは起こりそうな、確定しない断片を思い返すように置いていく。
そこからどこにつながれるか予測する。いくつかの分岐点を含みたい。
ひとつの物語に固定できない、どこを囲っても何かがこぼれ出るような、  そしてそれをまたすくいながら描いていく。(辻 可愛)」

タイトルの「どろどろの触手」は、虚実混じったかたちの定まらない記憶の断片をどろどろと形容し、そこから一方向ではないいくつもの断片へと伸びいく様を表しています。それは描かれたものだけではなく作品を通して思い返されることにまで伸びて引き寄せるでしょう。

本展では、辻可愛によるペインティングの最新作を展示・販売いたします。大胆な構図と深く淡い独特の色使いが、観る側を辻の世界へと引き込みます。不安定な断片がもたらす新たなモノの見方をお楽しみください。

[作家プロフィール]
辻 可愛/Kaai Tsuji
1982年 長崎生まれ。東京在住。2006年に東京工芸大学芸術学部デザイン学科卒業した後、2009〜2012年まで造形作家/批評家の岡崎乾二郎氏がディレクターを勤める四谷アート・ステゥデュウムに在籍。

主な個展
2013 『階段下の声/あの床の冷たさ』(waitingroom/東京)
『双眼鏡で隣に座る』(GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVE/東京)
2012 『辻可愛展』(GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVE/東京)
2011 『walk barefoot』(GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVE/東京)

グループ展
2012 『branch cut – 分岐と裁断』( GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVE/東京)
『Night Songs』(waitingroom/東京) 『ASO講』(ASOKO/東京)
『New City Art Fair(アートフェアー)』(hpgrp GALLERY NEW YORK/NY, USA)
2011 『ULTRA004(アートフェアー)』(スパイラル/東京)
『in the waitingroom』(waitingroom/東京) 『窓と物語』(waitingroom/東京)
2010 『ULTRA003(アートフェアー)』(スパイラル/東京)
『between pieces』(GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVE/東京)
『鈴木悠太 辻可愛 中川周 前田瑠絵 展』(GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVE/東京)

オープニングレセプション:2014年6月7日(土) 19:00 – 21:00


全文提供:WISH LESS gallery
会期:2014年6月7日(土)~2014年6月29日(日)
時間:木金 17:00 – 21:30/土日 12:00 – 19:00/月火水 アポイントメント制 
※初日は18時より開廊します/最終日18時終了
会場:WISH LESS gallery
最終更新 2014年 6月 07日
 

関連情報


| EN |