[Q-CO]実践躬行/じっせんきゅうこう 今自分に出来る事をする |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 5月 31日 |
売り上げの一部を東日本大震災チャリティーとする展覧会と原発とエネルギーの自主勉強会。 出展作家(集荷順) ☆選者が直接アトリエを訪問し、隠れた名作をピックアップして特別価格で展示販売します。 <特別展示> <特別販売> <座談会> <ライブ> 本展について 村田典子 作家をはじめ関係者皆が普段の経済活動として、各自の領分を責任をもってこなすことが身の丈の「自分に今できること」であると考えます。 また、普段でもギャラリーでは居合わせた人同士、美術や趣味で会話が弾む事があるようにゴトウさんから座談会のオファーをいただいたときにちょうど自分も知らない事が多すぎると思っていた事もありでは自分の出来る事を、と展覧会として企画を立てたのです。 ですので本展ではすこし意識的にテーマを提示し、原発事故以前はあまり意識してこなかったエネルギーや暮らし方を考え直すきっかけにしたいのです。 ネットやマスコミの情報だけで判断するのはあまりにも情報が膨大過ぎて自分自身どれを信ずるべきかがわからなかったのです。 ゴトウさんとまず会って話をしてみて、やはり改めて人と人、顔を合わせ話をすることでしか自分を納得させるに至らないのではと共に再認識してゴトウさんと共に本展の企画をいたしました。 普段通り、作品だけ見に来ていただいても結構です。アンケートや無理矢理話しかけることはしません。 また一方単にお話されに来られても、ライブだけ見に来ていただいても結構です。 展示ではそれぞれの選者の審美眼にかなった作家の旧作を中心にアトリエを訪問し、埋もれた逸品を発掘、お手頃価格で販売します。 ギャラリーの本分の作品の展示販売では、普段買わない方にも買ってもらいやすいようになるべく切りのいい価格に統一して展示したいと思いますので価格は作品を預かる際作家と直接相談して決めてゆきます。 3者のセンス、値段交渉の手並みにご期待ください。 ●チャリティーの納金先と方法も期間中討議して決定します。 <本展の物販売り上げ配分> ※全文提供: FUKUGAN GALLERY 会期: 2011年6月1日(水)-2011年6月5日(日) |
最終更新 2011年 6月 01日 |
東日本大震災の発生に対し、被災地に向けた募金・チャリティなどの支援活動が行われている。アート界でもチャリティ展覧会の開催、売上や入場料等の収入を義援金や募金とするギャラリー・美術館の動きが見られる。「いま、アートに何ができるのか」。被害にあった人々を前に何かをしたいという感情から生まれた活動は、緊急時における人道的、人間的な行為として高く評価されるべきだろう。
だが、たびたび開催される「チャリティ展」の概要を知ると、「展覧会」としての批評性、企画の新しさを求めたい気持ちも残る。そんななか、大阪のFUKUGAN GALLERYで開催されている「[Q-CO] 実践躬行/じっせんきゅうこう 今自分に出来る事をする」展は、ただのチャリティ展でもグループ展でもない企画力がある。本展は、売り上げの一部を東日本大震災へのチャリティとすること、展覧会と原発エネルギーの自主勉強会というのが趣旨であるが、その内容は多彩である。
展覧会は、3人のセレクターが作家のアトリエを訪れ、隠れた名作をセレクトし特別価格で展示、販売するというものだ。辺口芳典、権田直博、はまぐちさくらこ、mississippiなどひと癖ある作品が並ぶが、セレクターによって選ばれた三者三様の作家・作品のセレクトも興味深い。ほかにライブイベント、原発やエネルギー問題を考える座談会やLovearth Campによる自転車での発電装置とパネル展示、減農薬でリンゴ栽培を行う善積農園のリンゴジュース、リンゴジャムの販売などが行われる。
「実践躬行」とは、実際に自分自身で行うことを意味する。本展は、展示する作品、リンゴ、自家発電、ライブなどすべてが「今自分に出来る事をする」人々の展覧会なのである。多くのアーティストや美術関係者が経済的成功とはほとんど縁のない日本の美術界において、作品売上の「全額寄付」などのチャリティ活動は、電気を作り出すのと同じように、負担や力強さを必要とするものでもある。震災支援のために特別なことをするのではなく、普段の経済活動、制作・生活のなかで生まれた作品、考えや場を共有することこそ、身の丈にあったチャリティのもう一つのあり方なのかもしれない。