田村博文:STONE+SABI 原風景からの切り貼り |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 4月 19日 |
作家コメント 私はまだ樹で石を削り出し続けている。 樹は削り出すことでその樹が所有した時間を剥き出しにされる。 私はまだ樹で石を削り出し続けている。 樹で石をつくり、その石にメタリックな表皮を装着する。時と共にSABIがで出る。 私はまだ樹で石を削り出し続けている。 田村博文 ※全文提供: COMBINE 会期: 2011年4月27日(水)-2011年5月31日(火) |
最終更新 2011年 4月 27日 |
樹を素材に「石」を削りだす田村博文の個展。
2009年の個展『STONE−その不思議なる地球遺産』では床に本物と見紛うような大小さまざまな「石」が展示されたが、今展では基本的な制作方法は変わらないが、大きな変化が見られる。まず、目につくのは色彩である。前回の個展では木肌を見せていた石に色彩が施されているのである。なかには自然界に存在しないようなメタリックな色彩もあり、意表をつく。
そして、前回の個展では床にインスタレーションされた石たちは、今展では台座が設けられ、多くの「石」が浮遊しているのである。例えば、流木の上にキノコのように石が生えていたり、台座から茎のようなものが生えて、石を浮遊させているものもある。重さがあるはずの石が重力に抗い、植物のように上へと伸びていくようである。
石という無機的な物質が、有機的な形態を有する田村の「石」は、2年の時を経てキノコのような菌類へと変態・成長したようだ。「転がる石に苔は生えない」という言葉があるが、田村の削りだす「石」は転がるどころか、浮遊してしまった。まだまだ作風が変化していく田村に苔や錆はとうぶん生えそうもない。