阪本トクロウ:共鳴 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 9月 30日 |
阪本トクロウさんは1975 年山梨県生まれ、1999 年東京藝術大学美術学科絵画科日本画専攻卒業、今の日本の風景を描くには、紙とアクリル絵の具という技法が、最も作家本人に適した画材として選択され、描かれたその日常的な風景には静謐な空気感が漂い、阪本作品を特徴付けるものとして、多くの方の支持を受けるところとなっています。 阪本作品に描かれる風景は、必ずしも現実の風景というわけではなく、作家を通して再構成された風景が私たちの目の前にあります。従って個々の作品に人物は見られませんが、いつもその風景を見つめる作者の眼差しを感じさせられ、描かれたものばかりでなく、描かれなかったものや、空白にも多くのことが語られていることを読み取ることができます。それは単に気配であることもありますが、作者の思索の痕跡が画面に込められているかのように、存在の根源に迫る内容を持っていると感じられることもあります。 今展では大作「ドリフター」をはじめ20~25点の新作及び先般KIDO Press で発表された版画作品を展示いたします。 ごくありふれた日常の中から選んだイメージを淡々とシンプルに描きたいと思っています。現在ここにあるこの世界で生きているということを描いています。その世界をどのように見ているのか?という一つの視線であり、その世界で現実感をもって現実を生きているのか?という問いかけになればと思います。呼吸困難に陥りそうなこの世界の「現実」をそのまま投げ出したように描くことで私たちの生活を純粋に浮かび上がらせるものであってほしいです。私たちが生きている残酷で絶望すら感じられる世界の中で、そこにあるのであろう未来を見つけ、新たな意味が見いだせたらと思います。生まれてから今までの生きてきた記憶と現在生きている世界の感触、空気を他者と共有できるものであればと思います。 1975 山梨県に生まれる 全文提供: ギャラリーモモ |
最終更新 2009年 10月 24日 |