展覧会
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執筆: カロンズネット編集3
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公開日: 2013年 9月 27日 |
藤井保は日本を代表する広告写真家のひとりである。 だれでも、藤井保の写真を見たことがあるのではないだろうか? 私もその一人だった。 藤井作品の中に構図の真ん中に卵がひとつ配置された作品がある。不思議にその卵は、浮き上がっているようにも見えたり、落下しているようにも見えたりする。グレートーンの写真なのに、その卵は真っ白にも、茶色にも見えた。それはまるでこちらの心情を読んでいるかのようだった。私は、藤井の作品にひどく執着するようになり、とうとうギャラリーの陰も形もないまだ構想の段階に、手紙を書き、展覧会のお願いをした。それがほぼ 10 年前である。その 10 年の間に藤井のオリジナルプリントに接すれば接するほど、なぜ藤井がフィルム撮影、そして銀塩写真にこだわるのか理解できるようになった。 撮影時の藤井には、周りの者にも伝わってくる緊張感が漂う。その緊張は、そこにある存在そのもの、あるいは気配を撮るという写真家の覚悟なのかもしれない。 その覚悟は、暗室のなかで印画紙に浮き上がってくるのではないだろうか。 ぜひ、怖いくらいうっそうとした森の気配(ニライカナイ、1997 年)や手でかきわけたくなる霧の粒子(2013 年)を藤井の銀塩写真の中から感じていただきたい。
全文提供:MA2 Gallery
会期:2013年11月15日(金)~2013年12月15日(日) 時間:12:00ー19:00 休日:月・火 会場:MA2 Gallery
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最終更新 2013年 11月 15日 |