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Shomei TOMATSU:Afghanistan 1963
Events
Published: September 11 2013

東松照明 アフガニスタン 1963/2009

東松照明(1930年‒2012年)は、米軍基地や、長崎、沖縄など社会的な対象 をテーマとし、戦後の日本を見つめ続けた日本を代表する写真家の一人です。本展覧会では、東松が1963年にアフガニスタンを旅して撮影した写真のモノクロデジタルプリント約50点で構成されます。

1963年8月、東松は平凡社発行の雑誌 「太陽」の特派員として、アフガニスタンを訪れます。白く乾いた大地、強烈な太陽の陽射し、定住地を持たない遊牧民の暮らし、バザールに集まる 人々、チャドリを被った女性たち‐初めてのアフガニスタン、初めての海外は、32歳の東松にとって新鮮な驚きの連続でした。

この旅で撮影された200点あまりの写真は、アフガニスタンが戦争に巻き込まれる以前の人々の暮らしや文化です。その時撮影された作品は1968年「アツサラーム・アレイクン(あなたの上に安らぎがありますように)」として自費出版され、その後、1978年「泥の王国」(朝日ソノラマ刊)として上梓されています。

若き東松が切り取った、過酷な自然のなかで生きるアフガニスタンの人々の暮らしを映しだした写真は、エキゾチックな文化に対する物珍しさやロマンチックな視線ではなく、対象に自己 を置くことで対象の本質に迫ろうとする写真家の行為そのものが表現されています。そして、それらの写真は、その後の新宿や沖縄、東南アジアの写真において一貫して現れることになる、現代社会への鋭い問いかけの視線であることに気付きます。

谷川晃一は、「泥の王国」の序文に寄せて、「このアフガニスタンの写真には、その後、東松の代表的な作品『太 陽の鉛筆』(1975年刊)シリーズで確信的なものとなった文明批評すなわち、辺境の地から戦後の文明社会を逆照射してみるという方法意識の萌芽をすでに見ることができる。」と述べています。

これらアフガニスタンで撮影された写真は、50年の時が経った今も驚くべき新鮮さをたたえた作品となって私たちのもとに届けられます。東松が生涯を通じて求めた 精神の原点を見ることができる本展を、是非この機会にご高覧ください。

オープニングレセプション:2013年9月19日(木)18:00−20:00


全文提供:MISA SHIN GALLERY
会期:Sep 19 - Nov 2
時間:12:00ー19:00
closed on Sunday, Monday, and national holidays
会場:MISA SHIN GALLERY
Last Updated on September 19 2013
 

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