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ニュー辺境
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2013年 8月 19日

 

今最も注目すべき若手作家を紹介する、アートスペース「モデルルーム」を東京都青梅市のJR東青梅駅ほ ど近くに開廊致します。その第一弾企画展として、永畑智大、山崎悠人、津田翔平、諸星良典によるグルー プ展「ニュー辺境」を開催いたします。
タイトルにある「辺境」は、「中心から遠く離れた地」という意味を持つ言葉である。それは中心における権 力や規範に縛られず、新たなことが生まれる場とも解釈できる。「frontier」という単語が、一見背反する 「辺境」と「最先端」を意味するのは、往々にして新しいことは辺境から生まれてきたという史実に基づく ものなのだろう。
本展に参加するのは、巷で主流のコンセプトありきの現代美術とは、遠くかけ離れた、言わば「辺境」の作 家達。意味の整合性とは無縁に、あらゆる文脈から解放された彼らの自由な表現は、言葉では到底追いつ けないイメージの洪水の内に僕たちを放り込み、不安にさえする。本展では彼らが、一軒家を住宅展示場 さながら、それぞれが理想(モデル)とする空間(ルーム)に作り変える。その空間は、表現において理想と は何かという問いを内包させ、全く新たな価値観を提示するだろう。
東京の辺境の地・青梅から新たな表現が始まる。

[作家プロフィール]
●永畑智大
1983年 東京都生まれ
2010年 武蔵野美術大学彫刻学科卒業
オルタナティブアートクラブ「じゃぽにか」メンバー
[グループ展]
2010年 「陸上バタフライ」(Art Center Ongoing/東京)
2010年 「アートアワードトーキョー2010」(行幸地下ギャラリー/東京)
2010年 「入ッテハイケナイ家」(黄金町バザール/神奈川)
2011年 「TERATOTERA祭り」(東京)
2012年 「きのうあったことについて」(AI KOWADA GALLERY/東京)
2012年 「開館記念展示~青梅ゆかりの名宝展」(国立奥多摩美術館/東京)
[個展]
2011年 「うしろメタファー」(3番ギャラリー/東京)
2012年 「Bの巨人たち」(Art Center Ongoing/東京)
ナンセンスな動きをする奇天烈な立体。子供の落書きのようなペインティング。そこには、キッチュ、B級…何とも形容し難い、独創的な世界が広がる。彼の作り出す世界に飛び込むと、幼少期、何にもとらわれることなく、ただ造形の楽しさに向かい合っていたこと、本来表現は意味や理由など必要としていなかったはずだということを思い出し、ハッとする。なぜ現代美術はこんなにも踏まえるべき歴史や文脈に縛り付けられ、自由を失ってしまったのかと。きっと永畑は今日の文脈など何処吹く風と、その自由な表現で現代美術とその他を隔てる分厚い壁をぶちこわしてくれずはずだ。 http://teratotera.jp/terakko/?p=352

●津田翔平
1986年 東京都生まれ
2010年 武蔵野美術大学建築学科卒業
ノイズ専門レーベル「UNNOISELESS」主宰
[グループ展]
2008年 「THE SIX 2008」(HILLSIDE TERRACE/東京)
2010年 「松戸アートラインプロジェクト2010」(千葉、松戸)
2011年 「わくわく渋谷」(トーキョーワンダーサイト/東京)
2013年 「吉原芸術大サービス」(東京)
2013年 「膜|filmembrane」(シャトー2F/東京)
[個展]
2009年 「KYO-ZO【響像】vol.3-Anti Planetarium in ROCKET」(ROKET/東京)
2011年 「KYO-ZO【響像】vol.5」(空鼠/東京)
津田は本来見える聞こえるべきはずのものが、見えない聞こえない状況を作ることで、鑑賞者の意識と無意識を反転させる。「KYO-ZO【響像】」は真っ暗闇の空間を無数の赤いレーザー光線が走るインスタレーション。光線がそこにある物体や空間の表面をなぞることで、その輪郭を浮かび上がらせる。鑑賞者はその断片的に得た輪郭を無意識のうちに構成し、仮想の全体を作り上げてしまう。そして次第にわからなくなるのだ。自分は何を見て、何を見ていないのか。どこまでが意識の内にあり、外にあるのか。この暗闇での経験は、自分自身と対面する経験に等しい。 http://shoheitsuda.net


●山崎悠人
1983年 福岡県生まれ
2007年 武蔵野美術大学彫刻学科卒業
2009年 武蔵野美術大学大学院美術専攻彫刻コース修了
[グループ展]
2007年 「アートサイト岩室温泉」(岩室温泉/新潟)
2007年 「Art Plant」(狭山丘陵/東京)
2007年 「アートプログラム青梅」(東京)
2008年 「ヒロシマ・オー」(旧日本銀行広島支店/広島)
2008年 「国際交流プロジェクト」(スウェーデン王立美術学校/スウェーデン)
2009年 「中之条ビエンナーレ」(群馬)
観葉植物の木彫作品「Plants」シリーズ。ひょろひょろと高く伸びたコンシンネ、横たわるサボテンなど、今にも動き出しそうなそれらの奇妙な形態と、細部に見える荒々しい作家の手の痕跡は、植物とは何か別の生物の、生々しい存在を感じさせる。普段は生活の中に溶け込み、あえて意識することのない対象、非存在としてある観葉植物。「Plants」のモチーフが、そんな観葉植物であると気づくとき、山崎の彫刻は存在と非存在、「いる」と「いない」の狭間を漂い始め、捉えどころのないものとして僕たちの前に現れる。 http://yamasakiyuto.tumblr.com

●諸星良典
1983年 東京都生まれ
2013年 東京造形大学美術学部絵画学科在学中
階段部所属
[グループ展]
2010年 「第17回日本国際パフォーマンスアートフェスティバル」(プロトシアター/東京)
2010年 「第15回ニパフアジアパフォーマンスアート連続展」(アーツ千代田3331/東京)
2011年 「第18回日本国際パフォーマンスフェスティバル」
(アーツ千代田3331、西成プラザ/東京)
2011年 「第16回ニパフアジアパフォーマンスアート連続展」(アーツ千代田3331/東京)
2013年 「三途の川の流れのように」(美學校/東京)
自らの身体を使って、特定の対象に向けて行われる諸星のゲリラ的なパフォーマンスは、対象との関係性の変化を求めるのではなく、関係性をありのまま提示する。横田基地前でアメリカ軍歌をサックスで演奏する「Stars and Stripes Forever」、母親に衣服を脱がすよう促す「Mother」では、いずれも諸星は自身が思う対象との関係性を行為で表現し、それに対する反応を待っている。演奏を遮る米軍兵、戸惑いながらも引き受ける母親。そこに現れるのは、いかんともしがたい「他者」だ。そんな他者を前に僕たちはどうすべきか、諸星は問う
ているのかもしれない。

関連イベント

8月31日(土) 17:00- オープニングパーティー「竣工記念式典」
18:00-18:30 階段部パフォーマンスfeat.永畑智大
9月7日(土) 18:00-18:30 諸星良典 パフォーマンス
9月14日(土) 18:00-19:00 山崎悠人「ブラブラBar at モデルルーム」
9月29日(日) 16:00-16:30 永畑智大&中島田鶴雄プレゼンツ「帰ってきた奥多摩の男たち」
16:30-17:00 津田翔平×東山佳永 ライブパフォーマンス
17:00- クロージングパーティー


■階段部
階段部とは、東京造形大学の学生を中心とした、大学非公認のパフォーマンス集団。
「階段を昇る」という行為を通じて、地域、社会にアプローチしていく。
大学内や街頭の階段を全力で昇りそのタイムを競い合う「階段昇り活動」を基礎とし、街頭の階段上で様々なパフォーマンスを行っている。
http://kaidann.xxxxxxxx.jp

■東山佳永 踊り手/アーティスト
1983愛知県生まれ
日本大学芸術学部卒業
幼少時より動きの軌跡、人の体のラインの美しさに目覚め、踊りを始める。
2007年より作品制作、発表を開始。
こころにとまる多様な場所で、空間をキャンバスに見立て、建築や場所性
から景色を創る活動をする。
映像/布紙/食など様々な素材を用い、それらを空間と身体とともに構成、
時空間を生み出す。 http://touyamakae.net/


全文提供:モデルルーム
会期:2013年8月31日(土)~2013年9月29日(日)
時間:12:00~21:00(土日祝のみ開廊)
会場:モデルルーム
最終更新 2013年 8月 31日
 

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