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横須賀功光 × Hedva Ser:SHAFTS & FORMS
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 8月 13日

 

広告写真で一時代を築いた写真家 横須賀功光 (1937 - 2003) の作品は、没後、生前発表されていなかった彼のプライベートな作品への関心が高まっています。 2005年には東京都写真美術館にて大回顧展が開催され、写真集”Photon &Orge”「光と鬼」を出版、2012年には彼の子息横須賀安理氏による初のモダンプリントをEmon Photo Galleryにて展示販売致しました。

没後10年となる今年、時代を超越した研ぎ澄まされた高い芸術性を誇る彼の作品のなかでも、原点といえる1964年に撮影されたシリーズ「射」を、UNESCO認定の”平和のツリー”で世界的に知られるフランス人彫刻家Hedva Serの作品とともに展示致します。

横須賀の「射」シリーズは、無機質なオブジェを撮影した抽象的な白黒作品で、光と影のコントラストを拓みに操り、陰影の物質化を試みた、孤高の写真家の精神世界へとつながる扉をひらくような挑戦的な作品です。

一方で、エドヴァ・セールの彫刻作品は、自然に着想をえた、”木“”石“”波“”嵐“”トーテム“”炎“”融 合”など、流れるようなフォームを特徴とする女性的な彫刻作品です。彼女の作品は力と感受性を同時に感じさせ、アジアの”陰と陽”の精神に通じるところがあります。

エドヴァ・セールは、それまでの平和活動への貢献と彫刻作品”Tree of Peace”に対して、2011年にユネスコ(UNESCO)の平和芸術家の称号を授称し、フランスでは、2001年に芸術家勲章、1986年にレジオン・ドヌール章も授章しています。 彼女は、箱根彫刻の森美術館に永久所蔵されている作品で日本人にも有名なAlicia Penalba氏に師事し、またとくに”波”と”嵐”の作品では、北斎に影響を受けたそうで、パリをはじめ アテネ、ルクセンブルグ、ボストン、テルアビブなどで個展を開催しています。

この2人の偉大なアーティストの作品を同時に展示することは、まるで磁石のように引かれ合い反発するように、 ”日本とフランス””男性・女性””2次元と3次元””写真と彫刻””抽象と具象””無機質な物質と有機体””陰と陽”それぞれのレベルで二重性を持って、同時に生命と精神世界の本質に迫る相乗効果を得られるでしょう。

[作家プロフィール]
横須賀功光 写真家

1937年 11月26日、神奈川県横浜市に生まれる。
1956年 日本大学芸術学部写真科入学。
1959年 資生堂のグラフィックデザイナー村瀬秀明氏に会い、
はじめての仕事、『ハウスオーガン』(社内報)の表紙を撮影する。
1960年 日本大学卒業と同時に、フリーのカメラマンとして資生堂宣伝部の仕事を受け活躍をはじめる。
このころからファッション写真を手がけ、服飾デザイナー三宅一生氏に会う。
1964年 日本写真批評家新人賞記念写真展(富士フォトサロン)に「射」を出品。
1966年 「現代写真の10人展」に出展。<東京国立近代美術館>
1969年 ヌードを主題にした個展「亜」を開催。<ニコンサロン(東京)>
1972年 個展「壁があった」を開催。<ニコンサロン(東京>
1974年 4月に「WORKSHOP写真学校」開設。
1977年 個展「ホライズン」を開催。<銀座ニコンサロン、新宿ニコンサロン>
1978年 個展「IN BODY」を開催。
1982年 日本人初のイタリアンヴォーグ、ドイツヴォーグ、フレンチヴォーグのフリーランスカメラマンとなる。
1984年 個展「小夜子」を開催。<会期:9月18日~30日、資生堂ザ・ギンザ(東京)にて>
1985年 個展「裸体」を開催。<ニコンサロン、新宿ニコンサロン(東京)>
1986年 個展「月」(小夜子&山海塾)を開催。<会期:2月14日~2月28日、渋谷パルコ(東京)>
1989年 個展「光銀事件」を開催。銀座ニコンサロン(東京)同作品が第14回伊奈信男賞を受賞。
軽井沢写真美術館の設立にキューレーターとして寄与する。
1990年 個展「時間の庭」を開催。<会期8月24日~9月12日パルコギャラリー(東京)
1991年 「日本写真の転換 1960年代の表現」展 <東京都写真美術館>
1992年 「写真家は何を表現したか1960~1980 Photography」展<Konica Plaza>
1993年 「時代をひらいた写真家たち 1960~70年代」展<東京都写真美術館>
個展「エロスの部屋」プラチナプリント展を開催。<ザ・ギンザ・アートスペース(東京)>
1994年 個展「光学異性体」を開催。<銀座ニコンサロン(東京)>
1996年 「日本の写真 内なるかたち外なるかたち 第二部 戦後写真の変容1945~80」展<東京都写真美術館>
4月より日本大学芸術学部写真学科非常勤講師としてゼミナールを担当。
1998年 作品「マン・レイオマージュ」を制作。(未発表)
急性リンパ性白血病を発病する。
2003年 1月14日死去

主な受賞歴
1963年 第7回日本写真批評家協会賞、及び新人賞、日本写真協会賞新人奨励賞
1970年 アメリカン・テレビジョン・ラジオ・コマーシャル・フェスティバルでCLIO賞を受賞
1975年 カンヌ映画祭CM部門グランプリ受賞
1989年 写真展「光銀事件」で伊奈信男賞を受賞
その他東京アートディレクターズクラブ・ADC賞、広告賞多数受賞。

コレクション
ジョージ・イーストマン・ハウス国際写真博物館、川崎市民ミュージアム、トッパンコレクション、清里フォトミュージアム、神戸ファッション美術館、東京都写真美術館

主な出版物
写真集 「射 映像の現代:9」中央公論者, 1972年
三宅一生作品集 「ISSEI MIYAKE/East Meets West - 三宅一生の発想と展開」平凡社, 1978年
写真集 「横須賀功光と女たち - サマーガール・写ガール文庫(4)」日本芸術出版社, 1982年
写真集 「ザグッド=バッドガール」講談社, 1982年
写真集 「小夜子」文化出版局, 1984年
写真集 「月:小夜子/山海塾」PARCO出版局, 1986年
写真集 「光と鬼 横須賀功光の写真魔術」PARCO出版局, 2005年



Hedva Ser 芸術家・画家・彫刻家

イスラエル生まれ、フランス国籍、パリ在住
1964年15歳の時にテルアビブ美術館の若手芸術家コースに参加
1966年 Academy of Art of the Grande Chaumière(パリ)入学
1967年 Center for Technical Art of the Camondo School(パリ)入学
1970年 Hornsey College of Art (ロンドン)入学
1973年 彫刻家 Alicia Penalbaに出会い弟子になる
Hedva Serの作品は自然からインスピレーションを受け、その偉大な力と美に影響をうけることで深い感受性と直感力を表現している。その効果は彼女の彫刻表現に効果的に選択される。
「私の彫像をかたちづくる刺激となるものは、自然の内にあるエネルギーである。その生命力や必要最低限の活動が、私にとって、生命に対する畏怖と感動を呼び起こす。その風格は、すべてを照らしだし、様々な旅の航路でみた光の記憶とつながる。」  - Hedva Ser
Hedva Serは、UNESCOにて精力的に平和への貢献活動を行い、2011年にその活動と彼女の作品”Tree of Peace”に対して、UNESCOから“平和芸術家”の認定を受ける。フランスでは、1986年に"Chevalier des Arts et des Lettres"(芸術文化勲章) 、2001年に"Chevalier de la Légion d'honneur"(レジオンドヌール勲章)を受賞している。

主な展示:
1983 Institut Francais d’Athenes (Athenes)
1988 ピカソ美術館 (Antibes)
1992 ハーバード大学
1998 タベストリー美術館 (Aubusson)
1999 テルアヴィブ美術館 (Tel Aviv)
Artcurial ギャラリー (Paris)
2000 Artcurial ギャラリー (Monaco)
2005/2006 Panijel ギャラリー
2007 Ermano Tedeschi ギャラリー (Milano)
2008 Champs- Élysées (Paris)
2011 Pierre-Alain Challierギャラリ (Paris)
2012 Marlboroughギャラリー (Milano)

コレクション :
"Tree of Peace", Still University, Arizona
"Tree of Peace", Temple University, Philadelphia


全文提供:EMON PHOTO GALLERY
会期:2013年9月21日(土)~2013年11月22日(金)
時間:11:00~19:00 (土曜)11:00~18:00 日曜休廊
会場:EMON PHOTO GALLERY
最終更新 2013年 9月 21日
 

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