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山本渉:線を引く
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 4月 26日

ⒸYAMAMOTO Wataru

この度 photographers’galleryでは、山本渉写真集『線を引く』(MCV MCV)の出版記念といたしまして、企画展、山本渉写真展を開催する運びとなりました。写真研究者ダン・アビー氏によって2011年に設立された出版レーベル、MCV MCV から2012年11月に刊行された『線を引く』。本展ではその写真集に掲載された作品が二会場で展示されます。

[作家コメント]
「線を引く」を制作して約1年経ったころから、少しずつこの作品が私にとって何だったかを考える余裕がでてきました。
この作品は2010年10月と 2011年3月の 2度、熊野の原生林で撮影した写真をまとめたものです。熊野の原生林という特別な土地と、自然写真に対する私の考え方がこの作品に強い影響を与えたことは明らかです。でも今「線を引く」について考えてみると、2度の撮影が 3.11 をまたいでいたことに気がつきます。
1度目の撮影の時には森の中に一人で入っていって森と一つになりたいという気持ちがありました。写真の中で森と共に生きていける気がして大きな満足感を得ました。2度目の撮影の時には友人2人と一緒でした。とても一人ではいられなかったのです。目に映るもの全てに震災・津波・原発のレイヤーがかかっていて私の意識は正常な状態ではありませんでした。そして、そのとき森の中で感じていたことは1度目とは大きく異なっていました。自分と森を見つめるカメラの向こう側には何があるのか。私の写真を見つめる人々はだれなのか、どこにいるのか。「線」を握りしめながらそういうことをずっと考えていました。1度目の撮影が写真の内側に入っていくような体験であったことと対照的に2度目の撮影では自分の意識が写真の外側に向かっていくような・・向けなければいけないような気がしていました。
(山本渉写真集『線を引く』序文より)

[作家プロフィール]
山本渉

1986年 栃木県生まれ 2013年 多摩美術大学大学院博士前期課程修了
2010 グループ展「126 Polaroid」横浜美術館、神奈川
展覧会カタログ『126 POLAROID -さよならからの出会い-』(赤々舍)に掲載
2011 受賞<写真新世紀・佳作>
2012 個展「山本渉」ANOTHER FUNCTION、東京
グループ展「3331 Trans Arts」3331 Arts Chiyoda、東京

▼関連イベント
*アーティストトーク
山本渉(写真家)×ダン・アビー(写真研究)
開催日時:2013年6月8日(土) 16:00~17:30
会場:photographers’ gallery
入場料:¥500、要予約
* レセプションパーティー
開催日時:2013年6月8日(土) 18:00~20:00
会場:photographers’ gallery/KULA PHOTO GALLERY
参加無料


全文提供:photographers' gallery
会期:2013年6月4日(火)~2013年6月16日(日)
時間:12:00 - 20:00
休日:月
会場:photographers' gallery
最終更新 2013年 6月 04日
 

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