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リチャード・タトル:The Place in the Window
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 4月 16日

L to R / Place, three, 2013 Place, four, 2013
© Richard Tuttle Photo: Douglas M. Parker Studio

リチャード・タトルは現代において最も重要なアーティストのひとりです。1960年半ばから現在に至るまで、半世紀にわたるその長いキャリアにおいてタトルは、非常に多様であり、分類すら飛び越えた作品群を発表し続けてきました。彫刻、ペインティング、ドローイング、コラージュ、インスタレーション、そして言語や詩、これらの間にある領域から生み出されるその作品に共通しているのは、何にも規定されず、属さない自律性と独立性です。作品自体のもつライン、フォルム、質感、色、ボリュームが構築するのは、既存の表象・認識システムの外にある、いきいきとして詩的な、オルタナティブな視覚言語であり、その空間的な展開による豊かな知覚的効果です。使われているのはきわめてありふれた、あるいは壊れやすい紙や木片、ワイヤーや金属片などの素材ですが、それが直截でありはかなげであればあるほど、作品はより神秘性や驚きに満ちあふれるようです。
抽象表現主義の著名アーティストたちを輩出し、当時最も重要なギャラリーであったNYのベティ・パーソンズ・ギャラリーでタトルは1965年に初個展を開催。68年には染めた後にカットしたキャンバスを直接壁に展示した―—絵画を解体し、絵画でも彫刻でもあるような、またどちらでもないような―—「クロス・ピース」を、以降も壁に張ったワイヤーとその影、ドローイングの線で構成される「ワイヤー・ピース」や、多様なコラージュ作品など、現代美術の歴史に残る作品を発表し、ポスト・ミニマリスト世代を代表するアーティストとして、次世代に大きな影響を与えてきました。また近年では三次元のフォルムというよりむしろ空間の概念として、スケールの大きい彫刻を探求する「システムズ」シリーズなどを発表。描写ではなく、何かを問い、探求し、即興や発見をともないながら生み出され、その鑑賞の経験や空間自体も作品の一部となるような作品を制作し続けています。

[作家プロフィール]
リチャード・タトルは1941年ニュージャージー州ローウェイ生まれ。1963年、ハートフォードのトリニティー大学卒業。ニューヨークおよびニューメキシコにて制作活動を行っています。
主な美術館での個展に1975年のホイットニー美術館での個展、「Richard Tuttle: Perceived Obstacles」(Stiftung Schleswig-Holsteinische Landesmuseum(ドイツ、他2カ所へ巡回、2000-2001)、大規模な回顧展である「The Art of Richard Tuttle」(サンフランシスコ近代美術館、ホイットニー美術館、シカゴ現代美術館、他2カ所へ巡回、2005-2007)などがあります。またベネチア・ビエンナーレ(1976, 1997, 2001)、ドクメンタ(1972, 1977, 1987)、ホイットニー・ビエンナーレ(1977, 1987, 2000)など、重要な国際展にも数多く参加してきました。作品はニューヨーク近代美術館、テート・モダン、ポンピドゥー・センターなどを始めとする世界中の数多くの美術館等に収蔵されています。またタトルは、昨年日本で大好評を博した映画「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」(監督:佐々木芽生)に登場したアーティストの1人で、引き続き3月30日(土)より公開の続編「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」にも出演しています。

オープニングレセプション 4月26日(金) 6:00pm - 8:00pm
*[アーティスト・トーク] ギャラリー内 :4月26日(金) 5:30pm - (ご予約不要)


全文提供:小山登美夫ギャラリー 京都
会期:2013年4月26日(金)~2013年6月1日(土)
時間:12:00 - 19:00
休日:日・月・祝
会場:小山登美夫ギャラリー 京都
最終更新 2013年 4月 26日
 

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