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田名網敬一:1965-1975
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 3月 26日

 

このたび、NANZUKA は、田名網敬一の個展を開催いたします。今回の展覧会では、田名網のスタジオから最近発掘された60年代から70年代初めにかけて制作されたドローイングやコラージュ、ペインティング、そしてアニメーションを発表いたします。オリジナル作品の展示という意味では、全ての作品が今回初公開となります。

田名網敬一は、1936年東京生まれ。武蔵野美術大学デザイン科卒。1960年代からメディアやジャンルの境界を横断して、アートディレクション、イラストレーションといったグラフィックデザインの枠に留まらず、アニメーション、実験映画そして絵画、彫刻作品まで幅広く手掛け、現代の可変的なアーティスト像の先駆者として世界中の若いアーティストたちに大きな影響を与えているアーティストです。

60年代には、伝説的ロックバンド「モンキーズ」の『Pisces,Aquarius,Capricorn & Jones Ltd』 (1967)や、「ジェファーソン・エアプレイン」の『After Bathing At Baxters』(1967)の日本版アルバムジャケットを制作、また1968年にアメリカのAVANT-GARDE誌主催の「反戦ポスターコンテスト」 にて、シルクスクリーンプリント作品「NO MORE WAR」シリーズを発表するなど、ポップアート及びサイケデリックカルチャーの日本への導入に重要な作品を残しています。 また、田名網は、「卵形」(1963)、「田名網敬一の肖像」(1966)、「未来虚像図鑑」(1969)といった作品集の出版にも力を注ぎ、「アートブックの作品性」というテーマにも早くから取り組んできました。これらの作品は、田名網が、デザインのルールを応用したポップアートの可能性にいち早く着目し、遅くとも60年代の中頃から多色印刷やイメージのサンプリングなどといった技法や、「アートにおける複製」という概念を自身の作品で実験的に応用していたことを証明しています。また、田名網は、同時期にアンディ・ウォーホルやジョナス・メカスの洗礼を受け、実験映像作品やアニメーションの制作にも力を注いでいます、それらの作品は、「ニューヨークフィルムフェスティバル」(1976)、「日本の実験映画特集」展(ニューヨーク近代美術館、1978)、「ロンドン国際前衛映画祭」(イギリス、1979,2003)、「Japanese Underground Cinema Program 6: Radical Experiments in Japanese Animation」(ニューヨーク近代美術館, 2013)など数多くの国際映画祭、映像作品展に招待出品され、また近年ベルリン国立美術館(Hamburger Bahnhof)に収蔵されるなど、高い評価を受けています。

本展覧会にて発表される主な作品は、田名網敬一が1967年に初めてNYを訪れた際の衝撃とアンディー・ウォーホルが牽引するアメリカのポップアートの文脈に刺激を受けて、60年代後半から70年代初頭にかけて制作したイラストレーション原稿などのドローイング、私的な作品として制作されたコラージュブック、当時のアイドルや女優を描いたオイルペインティング、そして深夜番組「11pm」のために制作されたエロティックなアニメーション作品などです。ベトナム戦争、日米安全保障条約の改定、中華人民共和国文化大革命、オイルショックといった事件に象徴される激動の時代を反映して花開いたカウンター・カルチャーの旗手、田名網敬一の真骨頂とも言えるアイロニカルでポップな表現は、50年が経過した現在も決して色褪せることなく、むしろその輝きを益しています。田名網は、60年代という時代を振り返って、次のようなコメントを残しています。「ぼくの紆余曲折しながら歩んできた道程をふりかえると、60年代という特別な時代が遥か彼方でいまも鋭い光を放っているのがよくわかる。イラストレーションもアニメーションも実験映画もペインティングも版画も立体もそのすべてが60年代に生みおとされ成熟されたものといってもよい。」

今回の個展「KILLER JOE’S」は、田名網敬一がアートディレクションを手掛けた伝説のディスコの名前に由来しています。本展と同時に、コントラリードより同題の田名網敬一の初期作品のコンプリートカタログも出版されます。第二期のスタートする4月27日(土)18:00〜20:00にアーティストを囲んで盛大なオープニングレセプションを開催いたします。どうぞ、本展を皆様にご覧頂けると幸いです。

[作家プロフィール]
田名網敬一

1936年東京生まれ。武蔵野美術大学デザイン科卒。1975年より月刊「PLAY BOY」誌の初代アートディレクターに就任。1991年より京都造形芸術大学教授を勤めている。現在も、絵画、彫刻、アニメーションなど無尽蔵に制作を続け、世界中のギャラリー、美術館などで作品の発表が続いており、近年その作品がベルリン国立美術館(Hamburger Bahnhof)に収蔵されるなど、その国際的な評価は年々高まっている。

最近の主な展覧会に、個展「Wandering in the Chaos–the Dreamland of Keiichi Tanaami」(華美術館、中国深圳、2010)、国際展「横浜トリエンナーレ」(横浜美術館、2011)、個展「Drawings and Collages 1967-1975」(Galerie Gebr. Lehmann, Berlin,2011)、個展「結び隔てる橋」(NANZUKA,2011)、個展「No More War」(Schinkel Pavillon Berlin,2013)、Film Screening「Japanese Underground Cinema Program 6: Radical Experiments in Japanese Animation」(MoMA, NY, 2013)など多数。最近の主な出版物には、『DAYDREAM』(グラフィック社、2007)、『A PORTRAIT OF KEIICHI TANAAMI 14FILMS 1975-2009』(CaRTe bLaNChe/フランス、2010)、『WERK No.18 KEIICHI TANAAMI PSYCHEDELIC VISUAL MASTER』(WORK/シンガポール、2011)、『幻覚より奇なり』(リトルモア/森永博志との共著、2011)、『Killer Joe’s』(コントラリード、2013)など。また、雑誌『Wallpaper』(2007)『WeAr』(2008)『HOT ROD』(2008)『DAZED& CONFUSED』(2010)の表紙、特集ページを作品が飾った。また、ファッションブランドとのコラボレーションも数多く、2008年にはManish Aroraとパリ・コレクションでコラボレーションを発表。2011年にはルシアン・ペラフィネと、2013年にはStussyとのコラボレーションを発表している。

*出版
TANAAMI 『KILLER JOE’S』works 1965-1975
田名網敬一の初期作品のコンプリートカタログ
山下裕二、ニールス・オルセン寄稿
コントラリード、Walther Koeingより出版
4月27日(土)よりNANZUKAにて先行発売予定
エレクトマガジン 『glamour』
田名網敬一のドローイング作品集
3月29日(金)より代官山TSUTAYAにて先行発売予定

*同時関連企画展覧会
STUSSYx Keiichi Tanaami コラボレーション特別企画展
Keiichi Tanami個展「glamour」 2013年3月29日-2013年5月6日
STUSSY HARAJUKU CHAPT
東京都渋谷区神宮前4-28-2 ハウストンビル 2F
TEL:03-3479-6432

*代官山蔦屋特別展示
田名網敬一『幻覚より奇なり』関連展示「ハリウッドスターダスト」他
2013年3月18日-2013年4月14日
代官山DAIKANYAMA T-SITE
〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町17-5


全文提供:NANZUKA
会期:2013年4月3日(土)~2013年5月25日(土)
時間:11:00-19:00
休日:日・月
会場:NANZUKA
最終更新 2013年 4月 03日
 

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