展覧会
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執筆: カロンズネット編集3
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公開日: 2013年 1月 09日 |
2004年に多摩美術大学環境デザイン学科を卒業した足立は、2007年に東京都現代美術館で開催された展覧会「SPACE FOR YOUR FUTURE - アートとデザインの遺伝子を組み替える」に出品した作品が大きな話題となり、その後も国内外のコマーシャルギャラリーやアートスペースなどを中心に精力的に作品を発表しています。本展はhpgrp GALLERY TOKYOでの「never die」と、丸ビル1FのH.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHIでの「never fade」の2会場展開となり、「生と死」という壮大かつ普遍的なテーマに基づいた展覧会です。死を象徴する頭蓋骨や、生を象徴する華やかなオブジェ(シャンデリアや宝石など)を明礬(みょうばん)の結晶で表現した作品は、素材の透明性と輝きにより特異な存在感を主張しています。 結晶̶ある状態を続ける事が出来ずに凝固しながらも、同時にその状態で成長を続けるーという、矛盾を孕んだ物質の状態に「生と死」のイメージを重ねた彫刻作品が放つ輝きは、物質性への疑いや事物の儚さに一条の光を当てています。 新たな一年の始まりに、真に大切なこと、今一度立ち返る場所を再認識するような世界観が広がる足立喜一朗の新作展、この機会にぜひご高覧ください。
[作家コメント] これらの彫刻作品は結晶化させることで形づくったものです。結晶は過飽和状態が続く限り尚も成長を続けます。生きているかのように。しかし結晶は地層のようにゆっくりと年月をかけて積層されていきます。まさにそれは私にとって「死」そのものであるように思われました。このような「生と死」本来相反する両方の意味を兼ね備えている不可思議な結晶に私は惹かれました。結晶が僕に伝えることは「生」も「死」もどちらも美しいということです。僕は「生」と「死」が両方とも価値のあるものと思いたい。またこの作品は澁澤龍彦の著書「ホモ・エロティクス」を参考にするのが適当であるかと思われます。その著書の中で「死 = ニルヴァーナ(涅槃)」、「生 = 快感原則」という仮定のもと「ニルヴァーナ」と「快感原則」の統合こそ必要であると主張しています。これはどういうことなのか。現在私たちの世界では「生」が賛美され、「死」が忌み嫌われています。 死にたくないし、衰えたくない。こう私たちは思います。「生」は時間の制約の中、死を怯えながら快感を求め続けなければならないのか。「死」は時間の停止した中では永遠何の変化もなくそういった脅迫観念からは解放されるのではないか。 このようにエロスとタナトスの矛盾を説いています。
足立 喜一朗
[作家プロフィール] 足立 喜一朗 Kiichiro Adachi
1979 大阪生まれ 2004 多摩美術大学環境デザイン学科卒業。 現在、神奈川県にて制作・在住
【個展】 2010 「SOAP/SOAP」 NADiff Gallery(東京) 「SOAP」 AISHO MIURA ARTS(東京) 2009 「シャングリラ 2」 YUKA CONTEMPORARY(東京) 「シャングリラ」 ZAIM(横浜) 2008 「Her Extravagance」 hiromiyoshii FARM(東京) 2007 「BEAMS TIME 1st Anniversary」 BEAMS TIME(東京) 2005 「enigma」 gallery Q(東京) 2004 ゲリライベント「e.e.no.24 in 下北沢」(東京) ゲリライベント「e.e.no.24 in 都庁前」(東京)
【グループ展】 2012 「Back to the Nature」 FUMA Contemporary Tokyo(東京) 「LUMINE meets ART 2012」 LUMINE新宿店(東京) 2011 「CE QUI ARRIVE -これから起きるかもしれないこと-」 浅草花やしき(東京) おおさかカンヴァス(大阪) 「Trans-Cool TOKYO」 台北市立美術館(台湾) 2010 「Trans-Cool TOKYO」 シンガポール美術館(シンガポール) 釜山ビエンナーレ2010「Living in Evolution」(韓国) 「Trans-Cool TOKYO」 バンコク芸術文化センター(タイ) 「No Man\'s Land「創造と破壊」展」 フランス大使館(東京) 2008 「MOTコレクション サヴァイバル・アクション~新収蔵作品を中心に」 東京都現代美術館(東京) 「ライフがフォーム になるとき:未来への対話 ブラジル/日本」 サンパウロ近代美術館(ブラジル) 2007 「Space for your future ~アートとデザインの遺伝子を組み替える」 東京都現代美術館(東京) 「The Party」 gallery Q(東京) 「Explosion」 BankART Studio(横浜) 「大阪・アート・カレ イドスコープ2007」(大阪) 2006 取手アートプロジェクト2006 終末処理場(茨城)
【パブリックコレクション】 東京都現代美術館
RECEPTION 2013.1.11(fri)
全文提供:hpgrp GALLERY TOKYO
会期:2013年1月11日(金)~2013年1月27日(日) 時間:11:00 - 19:30 会場:hpgrp GALLERY TOKYO
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最終更新 2013年 1月 11日 |