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趙学兵 (ジャオ・シュエビン) :Path in the Woods
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2012年 11月 26日

Central Park #9, oil on canvas, 160 x 200cm, 2012
©Zhao Xuebing, Courtesy of the artist

趙学兵の作品において、線は異なるシリーズを通じて重要な要素です。「線は、私に自由と活力を感じさせます。しかしそれと同時に、十分な構図への配慮を必要とします。私は線そのもの、そして線同士の間に存在する関係が好きなのです」と趙は話します。

風景にしても、即興的に描いたドローイングにしても、彼の作品は力強さと、緻密なディテールの優れた描写をあわせもっています。2005年の作品《140人の武士》は、趙の観察力と想像力をよく表しています。下絵を描かず、一本一本の線を描いていくことによって、様々な姿の武士がキャンバス上に無限に広がります。

2011年に発表され、今でも制作が続く「セントラルパーク」シリーズでは、モチーフの輪郭線があいまいで紙の上でひろがるインクの染みのようです。しかしよくみると、ディテールは非常に細い線を繰り返すことによって紡ぎ上げられているのです。色調は単色とはいえ、光と影の濃淡が豊かに描写されています。素材は油絵ですが、中国の伝統的な水墨画との類似性が存在しています。

趙は日々の生活や、彼が普段興味を持っている物事からインスピレーションを得ます。《140人の武士》は彼が幼い頃熱中していた、中国の古典小説に出てくる鎧の魅力に基づいたものであり、彼がニューヨークに滞在した際に惹かれた風景と忘れられない記憶が、「セントラルパーク」シリーズを生み出しました。

本展では「セントラルパーク」シリーズのうち、木と葉がモチーフとなる作品を主に展示いたします。遠近の視点が交ざり合うように描かれ、続けて何点もの作品をみていると、セントラルパークの森の奥を歩いているようにも感じられます。趙の卓越した光線の表現によって、木や葉の生き生きとした豊かな表情がキャンバスの上に溢れます。水の上に散り、また地面を覆う枯れた枝や落葉は冷ややかな色調に包まれます。その孤感と寂寥感が、セントラルパークの外にある都会の賑やかさと対照をなしています。

また「セントラルパーク」シリーズの作品《water》は、本展にて初発表となります。木や葉の描き方と異なり、たくさんの微小な円形を用いて水のイメージを表しています。また他の作品と違い、《water》では鮮やかな色彩が加えられています。初めてカラーマーカーで制作した作品であり、また線と円形によって風景を描くのも今までにない表現です。大きなキャンバス上に、円形の繊細さが映え、色彩が変化するところには、さらに細かく半円形をつなげて表現しています。円形により巧みに表現された、絶えず流れる水の動きとさざ波のなかに、ゆらゆらと揺れる葉の姿をみることができます。趙が今回挑戦した新たな表現を是非ご高覧下さい。

[作家プロフィール]
趙学兵は1967年中国北京生まれ。幼い頃より絵画を学び始めました。2002年から5年間パリに、2007年から2年間ニューヨークに滞在。現在、中国上海を拠点に制作活動を行っています。
主な個展に「Central Park」(2011年、Shanghai Gallery of Art Project Space、上海、中国)、「parchemins」(2007年、サンリスビエンナーレ、サンリス、フランス)、「Dessins & Derive」(2007年、Espace Premier Regard、パリ、フランス)、「Landspaces」(2004年、Espace Lhomond、パリ、フランス)などがあります。2009年ニューヨークのドローイングセンターが主催した「ビューイング・ルーム」プロジェクトと、2008年Pierogi Gallery New Yorkが開催した「Flat Files」プロジェクトに参加しました。グループ展には、「Above the Horizon」(2012年、Shanghai Gallery of Art、上海、中国)と、Salon de Montroughで開催されたグループ展(2006年、モンルージュ、フランス)があります。

オープニングレセプション 11月23日(金) 6:00 - 8:00pm


全文提供:小山登美夫ギャラリー シンガポール

会期:2012年11月23日(土)~2012年12月23日(日)
時間:11:00-20:00 / 日曜日 10:00-18:00
休日:月・祝
会場:小山登美夫ギャラリー シンガポール

最終更新 2012年 11月 23日
 

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