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Kyotaro Hakamata
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Published: November 07 2012

photo by Ken Kato

[作家コメント]
「扮する人」


僕の制作するカラフルなアクリル板の積層による彫刻は、近年、置物などの既製品を用いた「複製」をテーマにしたものとして展開している。僕にとって「複製」は今後も継続する重要なテーマだが、その問題に取り組む上で、アクリル板によるこの手法の基本的な構造の問題を、あらためてとらえ直しておく必要性を感じていた。今回はあえて既製品などは用いず、この手法の原点に戻って制作しようと思う。
もともとこのシリーズを始めたのは、積層という構造の結果生まれる表面のストライプが、そのかたちを見ようとする視線を惑わし、破壊してしまうという、構造と表面の二律背反の関係に興味を持ったからであった。その問題の中心をシンプルに掘り下げながら、新たな表現を模索するのが今回のテーマである。
今回のメインの作品「扮する人」は、2007年に発表した「Families」をさらにシステマチックに展開させた作品である。作品全体の構造の問題を明確に意識することで、結果的に内在する複製性の問題にも踏み込めたらいいと思う。
カラフルなアクリル板の積層によってつくられた大小さまざまな人型。それらは架空の劇に登場する人物を想定し、それぞれ「壷を持つ男」「髪の長い女」「幼児」「熊」「木」の5つのキャラクターに扮している。5つのキャラクターは4種のサイズ、4種のカラーパターンと組み合わされ、計20体の人型となり壁に点在する。
架空の劇の5つのキャラクターは、それぞれ現実世界と神の世界を交信する重大な役割を持つが、それらの色やサイズは交換可能である。つまりかたちは単なる器でしかないともいえ、同時にカラフルな色彩を放ち、充実したプラスチックのかたまりであり、表面のストライプは視線を破壊する。
リアルとフェイク、充実と空虚、饒舌と沈黙。矛盾する要素をそのまま抱え込み、揺れ動きながら人の感覚に突き刺さるようなものをつくろうと思う。


2012年10月10日 袴田京太朗

Opening Reception 12.8 18:00~


全文提供:MA2Gallery
会期:2012.12.8~2013.1.20
時間:12:00 - 19:00
close on Monday,Tuesday and Holidays  Winter Vacation 2012.12.24~2013.1.11
会場:MA2Gallery
Last Updated on December 08 2012
 

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