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本城直季 写真展:ここからはじまるまち
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 6月 01日

© Naoki Honjo

ミニチュアのように人工的な造形物としてとらえられる風景は、都市が人によってつくられたものであることを、再認識させてくれる。見る者の幼心を揺さぶる写真の持つ魅力は、多くの人々の目を楽しませ、ファースト写真集『small planet』は、写真集としては異例の数万部にのぼるベストセラーとなった。2006年、同書で、木村伊兵衛賞を受賞した本城直季は、その後も、4x5 カメラによるあおり (フィルムに対してレンズの角度をずらして撮影すること)を生かした、魅力的な作品を発表しつづけている。
今回、アルティアムで展示する、「ここからはじまるまち Scripted Las Vegas」では、ここ数年来、ケニアやハワイなどで取り組んでいる、ヘリコプターからの空中撮影によって生まれた。あおりの効果はより高い場所で発揮されるため行き着いたのが空中撮影だったのである。

1936年に完成した、ラスベガス東南35kmに位置する巨大なフーバー・ダムから供給される水は、アメリカの都市開発の源流である。このダムの水は、砂漠を通過し、街の中心部を囲い込む整然と区画整理された住宅地を潤して、ラスベガスの賑わいをささえている。ある意味で、アメリカの象徴的な開発スタイルを遂げた街づくりの過程を、本城は、ヘリの上で辿り、俯瞰の風景を撮りおろしたのである。

広大な自然と、華やかな街づくり、そこで働く人々の居住地。それぞれの明快な境界線を描くラスベガスは、本城の視覚を得ることによって、壮大な街づくりの全容を現し、リアルなライヴ感をあふれさせる。

本城直季
1978年東京生まれ。
東京工芸大学大学院芸術研究科メディアアート修了。
4×5の大判カメラを使用して、人物や建造物をミニチュアのように撮影する独特の表現スタイルを確立する。

※全文提供: 三菱地所アルティアム

最終更新 2009年 6月 27日
 

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