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渕沢照晃:無限構築
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2012年 9月 24日

Unlimited Construction 2
2011
22x34.5cm
etching on paper, copper plate, framed

ユニークとしての版画

「無限構築」は版画(銅板エッチング)の特性である複製性に敢えて立ち向かう形で発表される版画のシリーズである。作品は刷り出された版画と その銅版を組み合わせて額装される。この構造により、「無限構築」は版画でありながら強固な一点性を獲得している。

版画には誇らしく1/1のサインが書き込まれている。一方銅版は、本来ならば多数枚刷った場合でも版の疲労が起きないように施されるクローム メッキがなされ、レリーフの様な美しさを醸し出している。それらを収める独特の「眼鏡額」の楽しさもこの作品の魅力を引き出している。

渕沢は版画のもつ複製性ではなく、銅板エッチングによって得られる精緻な線の魅力にこそむしろ言及している。以下のステートメントにある、封 印されていたイメージの開放と同様に、構造的な発想と言ったものが、この「無限構築」シリーズの様式を生み出したのであろう。

レントゲンヴェルケ
代表取締役 池内務

[作家コメント]
「無限構築」

今回の作品は今までのように「線」による表現には違いないが、
あえてできるだけシャープな「線」による無機質なイメージを展開させた。
するとあえて封印していたかのようなイメージが溢れ出た。
自分の中の男子中学生が再噴火したのかもしれない。
つまり「メカデザイン」魂というやつだ。

今、ひとつの時代が終わろうとしていることを実感している。
それは自身の制作、生み出すイメージにおいてでもある。
その前に自らを育んできた図像のルーツを再確認したのかもしれない。

どれほど昔から造り始めたのかわからない
その巨大な星へ行く船は
そのあまりの大きさから重力に縛られ
ついに一度も船出することなく朽ち果てようとしている
しかし眼下では地に根を張るように建造され続け
有機体のように増殖分裂を繰り返した
あたかも惑星を覆い同化するかのように

未来に向けて小品の小窓から一族の物語の断片を。

[作家プロフィール]
渕沢照晃

1968 神奈川県に生まれる
1993 東京造形大学美術学科卒業
2006 平成18年度文化庁新進芸術家国内研修制度国内研修員
千葉県在住

個展
2008 ギャラリーなつかb.p、東京
2007 Gallery ES、東京

グループ展
2008 「Moeglichkeit (メークリヒカイト)」、ラディウム-レントゲンヴェルケ、東京
2007 International Print Exhibition Tokyo2007、東京
シェル美術賞展2007、東京、京都
2006 中華民国第12回国際版画素描ビエンナーレ、台湾
第14回ソウル・スペース国際版画ビエンナーレ(買上賞受賞)、韓国
International Print Exhibition Tokyo 2007、トルコ
2005 クルージュミニプリントビエンナーレ、ルーマニア

☆オープニングパーティー:2012年10月5日[金]19:00~


全文提供:レントゲンヴェルケ
会期:2012年10月5日(金)~2012年11月25日(日)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月・祝
会場:レントゲンヴェルケ
最終更新 2012年 10月 05日
 

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