| EN |

山田啓貴:語りかける静物画
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2012年 9月 20日

ゆっくりと流れる時間 | 2012年 | キャンバス、油彩 | 116.7×116.7 ㎝

精密な描写の中に現れる沈黙と言葉。山田は、ルネサンス時代の古典的な技法で作品制作をしています。油絵の具とテンペラを薄く何度も塗り重ねる事で独特の質感を生み出し、触れてしまいたくなる程の繊細な透明感と存在感を放ちます。

描かれるモチーフは、食物や道具など、私たちの身の回りにある素朴なものたちです。独特の構図により生まれる空白の画面からは、作品に意味深な表情を持たせます。今その一瞬を捉えるのではなく、個人的で普遍的な事象がそれぞれのモチーフに託されています。そして私たちは思わず、それを自分の中に秘めた断片的な記憶と重ね、結びつけてしまうのです。誰にでも捨てきれないものがある様に、大切な記憶を宿したものがある様に、そんな感覚を呼び覚まします。

ありのままの姿を捉えながらも、その向こう側にある誰かの何らかの過去や想いを訴えかける静物画。何かを語りかけ、ある日を思い出させるかの様に、広く静かな空間にひっそりと佇みます。それは物を丁寧に作り大事に使う事の美しさをも感じさせ、現代の溢れる物欲に対する道徳美を見つめなおす事にも繋がるのです。

[作家プロフィール]
山田啓貴 Keiki YAMADA

1978 北海道生まれ
2002 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
2004 多摩美術大学大学院美術研究科修了

■主な個展
2006 空の存在(札幌時計台ギャラリー, 札幌)
2007 Mr.Watermelon(ギャラリー椿GT2, 京橋)
2010 山田啓貴 個展(ギャラリー亀福, 国立)
2012 Slow Time / ゆっくり流れる時間(Gallery Coexist Tokyo, 木場)

■主なグループ展
2004 Punkt(青木画廊, 銀座)
2006 Gelande(ギャラリーアートもりもと, 京橋)
2008 NETWORK JAPAN(Inter aria art Gallery, ソウル)
2009 Three colors(ギャラリー真玄堂, 銀座)
2010 僕たちのわすれもの(Bunkamura Gallery, 渋谷)
2011 Nomadic Circus(北海道立近代美術館, 札幌)
2012 2:46 and Thereafter (Edison Place Gallery, ワシントンD.C.)

全文提供:Bunkamura Box ギャラリー


会期:2012年10月23日(木)~2012年10月31日(水)
時間:10:00 - 19:30
休日:会期中無休
会場:Bunkamura Box ギャラリー

最終更新 2012年 10月 23日
 

関連情報


| EN |