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MAMプロジェクト018: 山城知佳子
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2012年 9月 14日

《アーサ女》2008年 | フィルム(DVDに変換) 7分15秒 | Courtesy: Yumiko Chiba Associates

復帰から 40年―沖縄の今を問う詩的映像

森美術館は、2012年 11月 17日( 土 )から 2013年 3月 31日日 )まで、「MAMプロジェクト018: 山城知佳子 」 展を開催します。山城知佳子(1976年沖縄生まれ)は映像や写真など多様なメディアを使い、自身の出身地、沖縄を主題とする作品を制作します。初期の映像作品《I Like Okinawa Sweet(オキナワ TOURISTより)》(2004年)では、作家が米軍基地フェンスの前で沖縄名産のアイスクリームを頬張ることで、「 舐められ」続ける沖縄を描き、代表作の《アーサ女 》(2008年)では、米軍基地移転計画がある辺野古の海中で、水と藻の流れに身を委ねる自身を通して、日本と米国に翻弄される沖縄を暗示しますサイパン戦玉砕を体験した沖縄の高齢者の語りを自らの口を通して再現しようとする映像作品《あなたの声は私の喉を通った》(2009年)は、戦後70年近く経った今に歴史を語り継ぐ困難さを表象しているとも解釈できますが、これは現在、沖縄が抱える戦争体験の風化という問題とも重なります。このように、作品の多くに登場する山城本人の身体は沖縄の状況を象徴的に表わしますが、作品は単純な善悪論に回収されるのではなく、詩的表現も手伝って、さまざまな解釈を可能にします。そこに、女性性や身体性、生と死の関係、記憶と語り等、普遍的なテーマを読み取ることもできるでしょう。また最近では、自作自演から第三者を被写体とするものへと移りつつあり、本展では、米軍基地敷地内にある闇市で肉屋を営む女性を主人公に、現実とフィクションが交差する最新映像作品を発表する予定です。

[作家プロフィール]
山城知佳子 (現代美術家、映像作家)

1976年沖縄生まれ。1999年沖縄県立芸術大学美術工芸学部油画科専攻卒業、2000年サリー州立アート ・ アンド ・ デザイン大学( 英国 )に交換留学。 2002年沖縄県立芸術大学大学院環境造形専攻修了。主な個展に、「 墓庭の女 」( 前島アートセンター、沖縄、2002年 )、「Garden Talk」(プロジェクトスペース KANDADA、東京、2007 年 )、グループ展に「 沖縄・プリズム 1872-2008」( 東京国立近代美術館、2008年 )、「アトミックサンシャインの中へ in沖縄 」( 沖縄県立博物館・美術館、2009年、第 2回恵比寿映像祭「歌をさがして」( 東京都写真美術館、2010年 )、「 現代日本のアート、パフォーマンスとアクティヴィズム」(パンプハウス・ ギャラリー、ロンドン、2012年 )、「アジアの女性アーティスト展:アジアをつなぐ―境界を生きる女たち 1984-2012」(福岡アジア美術館他巡回、2012年 )などがある。

■アーティストトーク ※日英同時通訳付
出演:山城知佳子
日時:2012年 11月 17日( 土 ) 14:00- 15:30
会場:森美術館展示室内 定員:80名( 要予約 ) 料金:無料( 要展覧会チケット)
お申し込み: 森美術館ウェブサイト WWW.MORI.ART.MUSEUM


■キュレーター対談 ※日本語のみ
出演:鈴木勝雄( 東京国立近代美術館主任研究員 )、近藤健一( 森美術館キュレーター)
日時:2013年 1月 12日( 土 ) 14:00- 15:30
会場:森美術館展示室内 定員:80名( 要予約 ) 料金:無料( 要展覧会チケット)
お申し込み: 森美術館ウェブサイト WWW.MORI.ART.MUSEUM

全文提供:森美術館


会期:2012年11月17日(土)~2012年3月31日(日)
時間:(月・水~日曜)10:00 - 22:00・(火曜)10:00 - 17:00(最終入館時間は閉館30分前まで)
会場:森美術館

最終更新 2012年 11月 17日
 

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