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遠藤良太郎:ゆらゆらと行方知れずの小宇宙
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2012年 8月 29日

左 より 
奇天烈型円卓(37×48×35) 
世界は腐れ縁(20×42×42)
吹き抜けの二重円卓(19×27×27)

【director  上山潤】

遠藤良太郎の作品を初めて見たとき、なんと不安定なという印象を持った。

しかしこの不安定という感情は一体どこから生まれるのか?遠藤良太郎 の作品を見ると、我々が持つその感情に挑戦するような造形感覚を嗅ぎ 分けることができる。

つまり陶とは土という素材から火を使い形を生み出すが、一貫して壊れると いう性格に常に抗って生まれると言えなくもない。故に普通世間一般にお ける“陶”とは出来る限り壊れないという安定をその造形に持ち込もうとす るが、遠藤良太郎の場合、その逆を試みている。

“陶”という常に壊れ消失することを性格として持ち合わせている物体の 本質とは、出来上がるという瞬間と壊れるという瞬間、その狭間に存在し、

その狭間で成立する、そういった瞬間の“出来事”を作家が創出しているの ではないか?と考えさせられる。長い年月の中で培われた現在の作陶の 技術とはある意味挑戦を欠いた予定調和としての造形かもしれない。

遠藤良太郎が挑む作陶とは完成と消失の狭間に存在する“陶における 出来事”そのものを如実に現していると私は感じるのです。

[作家コメント]
幼い頃に持っていた自由な遊び心は自身の小宇宙を形成する。
好きなようにルールを作りそのルールの中で限りなく自由に遊ぶ。

しかしそれは時が経つにつれていつのまにか行方をくらました。

確かにあったはずなのに圧倒的スピードで押し寄せる膨大な
情報の波にもまれて小宇宙と離れ離れになってしまった。

だが決して消えたわけではない。あの頃のように五感を研ぎ澄まし
変化を望めばきっとまた出会えるだろう、あの頃よりも素晴らしい
小宇宙と。                           


遠藤良太郎

[作家プロフィール]
遠藤良太郎(えんどうりょうたろう)

1987 新潟県燕市に生まれる 
2006 高校卒業後、憧れていた自由 を求めて日本各地をさ迷ったり
地元でバイトしてまたさ迷ったりの日々を送る 
2009 京都精華大学 陶芸コース入学 
2012 同大学在学中 現在4回生 京都市在住

展覧会 
2010 上賀茂アートプロジェクト2010 / 上賀茂神社 / 京都 
2011 「おいしい作品たち」京都精華大学2回生進級制作 / Gallery Maronie / 京都 
2011 ザ☆オマモリ展2011 / Gallery Maronie / 京都 
2011 KyotoCurrent展 vol.3 / 京都市美術館 別館 / 京都 
2011 烏丸michikusaART / ラクエ四条烏丸、COCON KARASUMA / 京都 
2012 三日展 -継続チカラなり- / ART FORUM JARFO / 京都 2012 BOX展 / くらふとギャラリー集 / 京都 
2012 上賀茂アートプロジェクト2012 / 上賀茂神社 / 京都


全文提供:BAMI gallery
会期:2012年9月7日(金)~2012年9月28日(金)
時間:12:00~18:00
休日:土・日・祝
会場:BAMI gallery
最終更新 2012年 9月 07日
 

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