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池上良子:遺伝子/体液
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 5月 22日

池上良子 参考画像(08年個展「遺伝子/体毛」会場写真) copyright(c) Yoshiko IKEGAMI

池上は、助産師です。かつて、日々新たな生と向き合う一方で、誕生とは死と背中合わせであると語ってくれました。また、私たちは遺伝子的にいえば、すべてコピー的存在であるとも言っています。池上にとって創造は、凄絶、あるいは崇高な現場にいる自身の精神を支える大切な行為であるとともに、遺伝子そのものの配列に美しさを感じ可視化させる方法であるといえるでしょう。このたびは、DNA 文字を音声に置き換えた最新のインスタレーションをご紹介します。

生物学的身体から切り離された「個」としての痕跡は、私達の気付かないところで置き去りにされている。その置き置き去りにされた表層は、毛髪、指紋、唾液など様々であるが、皮膚や粘膜を通して立ち現れてくる。ヒトは、60%の体内総水分量を含有しているといわれている。その水分は体液(血液、リンパ液、組織液)と呼ばれ、データ化された身体としての情報量は豊富である。生物学的身体としての体液は、皮膚や粘膜を通して、汗や尿などとして体外に排出されている。体液とは、皮膚や粘膜に囲まれ意識として認識されにくいが、身体のカケラとしては、汗や尿などとして見えるカタチで表出している。今回の展覧会では、前回に引き続きDNA を「見える」「聞こえる」かたちで提示してみたい。テーマとしては、「体液」を主軸に据えて、ヒトの内側から出てきた身体のカケラをもう一度探ることにより、一人ひとり違う遺伝子の存在というものを想起させてみたい。
-池上良子

※全文提供: MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERYpfs/w

最終更新 2009年 5月 19日
 

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