| EN |

James JACK:PHILOSOPHIES OF DIRT
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2012年 8月 27日

James JACK
Philosophies of Dirt
Five 76 x 56 cm, Natural pigments on paper. 2012

この度、SATOSHI KOYAMA GALLERYでは、ジェームズ・ジャックのの個展「Philosophies of Dirt」を開催いたします。本展は、美術家ジェームズ・ジャックが過去7年間に渡って展開した、土壌を原料とした天然顔料と紙による制作の国際的なデビューとなります。
詩人・ブランドン下田は、「ジャックという作家は、重要なコミットメントを伴ったストーリーテラーであり、その作品が、核心的で優れた資質を有した制作活動を弁証している。“Philosophies of Dirt(土壌の哲学)” によって、“或る場所”が深い考察のモデルとして成立し、“その場所についての寛大なる証人となり、その場所の再生のためにその土壌を採取するという行為を展開する事”が、ジャックの美術を実証している。」と書いています。
本作は、東はオレゴンの海岸沿いから、西は太平洋を跨いだ対岸の北海道までの広大な空間に点在する46ヶ所の“或る場所”と作家が築いた、親密な関係に基づいています。それぞれの場所で、ジャックはその土地にまつわる物語を聞き、共感し、解釈し、そしてその場所の土をサンプルとして拝借するという“場所に特化した(place-specific)”方法で、その場所を取り巻く環境との関係を築きました。ある時はオアフの真珠湾記念碑の傍らにある場所に立ち、そこにある様々な歴史-文学的、社会的、政治的、地理的、そして個人的な歴史のパラドックスに深く影響を受けました。アジア・アメリカアートセンター(ニューヨーク市)のディレクターのロバート・リーは、「ジェームズ・ジャックは、アジア系アメリカ人ではないが、アメリカにおける東洋的な物語の代弁者である。これは、『自然は深く神秘的だが親密で、搾取や征服、或いは恐れの衝動を伴わない友人である』というアメリカの近年の思想的傾向にも通じている。」と語りました。
「この作品はどこから来て、一体どこに向かうのか。」作品の周囲を取り巻く様々な物事に思いを馳せ、このように深く問いかけると、作品とその周りの環境をより高い視座で関連付ける、新たな思考のプロセスが始まります。ジャックは、「社会的な対立の歴史や、環境が破壊から受けた後遺症、数多くの物語、そして様々な間接的な要因から生まれるギャップ、そこからこそ新しいアートが生まれるのです。」と語っています。そして彼は、決して主張する事はないけれども、環境との深い関係を持った、この“或る場所”と心を通わせる方法を見出したのです。

[作家プロフィール]
■ジェームズ・ジャック(1979 年生)

アメリカ出身、東京芸術大学博士課程に在籍中。ハワイ大学の修士課程在籍中、2008-10 年に現代美術研究及び制作の分野で皇太子明仁親王奨学金に選ばれた。これまでの個展は主に天然素材を用いたインスタレーションが多く、TAMA Gallery(ニューヨーク市)、Beppu-Wiarda Gallery(ポートランド、オレゴン州)、そして、ホノルル美術館で開催された。主なグループ展に、entler Drawing Center (ニューヨーク市)、ZAIM(横浜市)、Portland Art Center がある。2013 年はノルウェーと瀬戸内国際アートフェスティバルに参加予定。
アートライターとして、Byron Kim、安斎重男、フランシス真悟、内藤礼のインタビュー記事や、もの派、須田悦弘、榎倉康二の展覧会カタログへの寄稿がある。主な受賞に、Annie Wong Arts Foundation(香港)、Fulbright Foundation(米国)、国際交流基金(日本)。

オープニングレセプション:2012 年 9 月 29 日(土)17:00-19:00


全文提供:SATOSHI KOYAMA GALLERY
会期:2012年9月29日(土)~2012年10月27日(土)
時間:13:00 - 18:00
休日:月・火・日・祝
会場:SATOSHI KOYAMA GALLERY
最終更新 2012年 9月 29日
 

関連情報


| EN |