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Taisuke Mohri:The Cracked Portraits
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Published: August 17 2012

Taisuke Mohri, Cracked Portrait#1, pencil on paper/glass, 100x72.8cm, 2012

Taisuke Mohri, Cracked Portrait#1, pencil on paper/glass, 100x72.8cm, 2012 (detail)

アートを知覚する上での基本的な前提として「表象されているなにか」と「存在しているなにか」の境界線をなぞるというものがあり、それによって鑑賞者は、知覚するものは現実の一部ではなく、作家の仕事であることに気づきます。この行為において、基礎となる手がかりは物質です。イメージのメディアは作品の物質的なベースを全面に表し、表象の「作られた」性格を見せます。例えば、絵画における形象は、それ自体が描かれた油彩のレイヤーを示すことと同様なのです。しかし、物質の世界が鑑賞者を裏切り、イリュージョンの作用に加担するとどうなるでしょう。更に、物質がミメシスの一部を担うのみでなく、実存と競い合うイメージ、視覚的な現実とその表象を超越するハイパーリアルのイメージを支えるとどうなるでしょう。その時、現実と偽物の間の壁は崩され、「存在するもの」と「描かれたもの」を区別する我々の防御システムにはひびが入り、イメージは「実在するもの」と「虚構」の定義を揺るがせるでしょう。

毛利太祐による「The Cracked Portraits」は物質のベースをシミュレーションの共謀者に仕立てます。鉛筆で描かれた顔、形象はひびの入ったガラスで覆われています。物質上のひびは表象の次元に入り、ポートレートにおいて、はっきりしている部分と、雨の日の窓越しに見ているような、ぼやけている部分をつくりだしています。物質におけるひびは絵における線となります。一方、立体的、または、三次元における頭は、平面的といえる表面から、割れたガラスの網目に飛び出し、物理的な次元と統合することで具体化された現実となります。毛利による「Cracked Portraits」と本展は、この逆方向の動きと、これに従う視覚的・精神的経験を感じさせるものとなります。鉛筆で描かれた表象は、現実と物理的な存在に向かいながら、現実そのものとその物質は虚構の次元と想像の世界に向かいます。現実的なものと錯覚によって生み出されたもののダンスが始まり、親しみのある我々の知覚を揺るがします。

[作家プロフィール]
Taisuke Mohri/毛利太祐

1983 Born in Sapporo
2009 Tokyo Art University, B.A. Industrial Arts
Solo Exhibitions
2012 “The Cracked Portraits”, Frantic Gallery, Tokyo
Group Exhibition
2011 “2011 FRANTIC UNDERLINES”, Frantic Gallery, Tokyo
2010 "2010 FRANTIC UNDERLINES", Frantic Gallery, Tokyo
2010 "frantic drawings", Frantic Gallery, Tokyo
2009 "Extra Real" Exhibition, ULTRA002, Spiral Garden, Tokyo
"My Favorite Things", art project frantic&unseal cotemporary Joint
Exhibition, Tokyo
"Archives", Shinwa Art Museum, Tokyo
"Graduated Works Exhibition of Tokyo Art University", Tokyo
Metropolitan Museum of Art, Tokyo
2008 "stop by art", Ueno Station Gallery, Tokyo
"Vessels" Exhibition, Nihonbashi Mitsukoshi Department, Art Square,
Tokyo
2006 "plug", LE DECO, Tokyo
Awards
2008 "Fujino Prize", Fujino Kinzoku Co.

Opening reception:2011.8.31 18:00-20:00


全文提供:Frantic Gallery
会期:2012.8.31~2012.9.2
時間:12:00 - 19:00
会場:Frantic Gallery
Last Updated on August 31 2012
 

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