この度Fukagawa banshogalleryでは2012年7月31日より稲垣遊の個展を開催いたします。1985年神奈川県生まれの稲垣遊は、2009年武蔵野美術大学日本画科を修了、現在は東京にて制作を行っています。本年は東京都主催の公募展トーキョーワンダーウォールに出品し、昨年に続いて２年連続の入選を果たすなど、気鋭の若手作家として期待が高まっています。作品は主に都市や郊外で見られる建物や橋といった建造物と、川や森などの自然がモチーフとして描かれ、それらがモノクロームの風景の中で不明瞭な混じりあいを見せています。この曖昧な重なり、あるいは不確かに広がる空白は、実体を持たない領域として滲み出し、そのぼんやりとした表れを感じる絵画体験に稲垣遊の作品の特徴があります。本展では新作のペインティングと近作の未発表作品を併せて紹介いたします。この機会に是非ご高覧いただきますよう、お願い申し上げます。

［作家コメント］
「絵画制作の契機は、現実の風景から得た感覚である。見えるものと見えないもの、見ないもの、判る部分と判らない部分といった対比や、もの同士の衝突や解離が風景には満ちていて、何が感情に訴えるのかは容易には判断できない。その点をドローイングを通じて検証し、試行錯誤しながら作品にしていく。私が絵画に求めているのは、自分自身の奥の方にある感情をじわじわと揺さぶられるような体験である。不安と興奮の間にある、名付けようのない感情に光を当てることが、生きるていると感じることにつながるからかもしれない。」

稲垣遊

［作家プロフィール］
稲垣 遊（いながき　ゆう）

1985年　神奈川生まれ
2009年　武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程修了

個展
2012年　深川番所ギャラリー、東京
2011年　ソーンツリー ギャラリー、東京

グループ展
2012年　「トーキョーワンダーウォール2012」東京都現代美術館
2011年　「トーキョーワンダーウォール2011」東京都現代美術館
2010年　「errortrap」武蔵野美術大学
2008年　「ワンダーシード2008」トーキョーワンダーサイト渋谷
2007年　「アートプログラム青梅2007」東京
2005年　「ワンダーシード2005」トーキョーワンダーサイト本郷