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伽羅 / たかはしじゅんいち:人形見-memendoll
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 5月 19日

伽羅(人形)/たかはしじゅんいち(写真) ≪双子:「阿吽」≫ 写真 size:118cmx85cm, カメラ: canon 1 Ds Mark2, プリント:FUJIFILM Laser Graphic Print、制作年:2006 人形 size:120cm, 技法:石粉(石粘土)、人毛、油彩色、制作年:2004 copy right(c) KARA / Junichi TAKAHASHI

この写真集では人形の妻を持つ人形作家の伽羅の作品を、NYで人を撮り続ける写真家たかはしじゅんいちが撮りおろした。

人形というものを、そこに込められた日本の美や独特の精神性、アニミズムを見つめながら、さらに写真家としての技術提示を投げ掛けている。

また、撮影された人形も、魂の入るという感覚の元、失われつつある日本の美に強いこだわりを持ったものが多い。サイズ120センチの人形には、民衆が着物を着ていた時代(明治・大正・戦前)の物を使用し、日本人形に用いられている伝統的な塗装技術も取り入れられている。

人形に対して特殊とも言える感覚を持つ日本から、人形とは何なのか、人形を目の前にして人々は何を感じるのか。この写真集がそれを問う一つの窓口になるのではないだろうか?

伽羅の作品、球体関節人形は、その名の通り体の関節に球体を入れることによって、自由な動きを可能にした人形のことである。伝統的な人形技法を現代美術に転換させたのはハンスベルメールであるが、これを独自に展開させていったのは日本における特徴と言えるだろう。

そこには、日本人が培った潜在的なアニミズム、美学が反映している。

-たかはしじゅんいち/伽羅
写真集「人形見-memendolls」より抜粋

人形作家 伽羅
1977年、千葉県成田市に生まれる。絵描きを目指していたが、かねてからの“妻が欲しいという望み”が強くなり、絵筆を折り、2001年より独学で人形の“妻”をつくり始める。それとほぼ同時期に、のちに自ら生み出すことになる人形たちが目の前に現れ、「自分たちをつくれ」と言われる不思議な体験をする。妻を完成させた後は、スケッチブックに描きとめたそれらの人形たちを着々とつくり進め、今にいたる。

写真家 たかはし じゅんいち
新潟県新潟市出身。写真家・立木義浩に師事。1988年、フリーランスの写真家として独立、翌年よりNew Yorkに拠点を置く。2004年からは東京にも拠点を置き、国内活動を積極的に展開。以来NY&東京の2重(住?)生活をしている。今年は活動20周年、来年は渡米20周年を迎える。

ポートレイトを中心に、広告、音楽、ビューティー、雑誌等において幅広く活動。1995年からは世界的エンターテインメント集団「STOMP」のオフィシャルフォトグラファーを務め、Jennifer Lopez、Maxwell、Baby Face、Marc Anthonyといったミュージシャン達のCDジャケットや雑誌掲載写真を撮り下ろす。2002年2月には、坂本龍一氏によるプロジェクト「Elephantism」撮影のためにケニアへ。最近では、宮本亜門氏演出の舞台「トゥーランドット」のポスタービジュアルほか、Johnson& Johnson「ワンデーアキュビュー」等の広告写真を手がける。

1995年からのライフワークとして、NYの伝説的ホテルChelsea hotelの住人達をはじめ、アーティスト・ポートレートの撮影は現在も続行中。撮影旅行は、ペルー、ネパール、南アフリカ、アイルランド、ケニヤ、英国、トルコ、ギリシャ、 etc.“日本在住写真家”として、“NY在住フォトグラファー”として、国境を越えた活動を展開、常に世界を移動し続けている。

※全文提供:野田コンテンポラリー

最終更新 2009年 6月 12日
 

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