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田中一光とデザインの前後左右
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2012年 7月 05日

「田中一光グラフィックアート植物園」 ポスター | ギンザ・グラフィック・ギャラリー、1990年

「文字からのイマジネーション」 ポスター | モリサワ、1993年

21_21 DESIGN SIGHTでは、9月21日より、企画展「田中一光とデザインの前後左右」を開催します。 日本を代表するグラフィックデザイナー 田中一光(1930〜2002)は、伝統の継承から未来の洞察、東と西の国々との交流など、田中自身の言う「デザインの前後左右」を見すえたアートディレクターでもありました。琳派、浮世絵、伝統芸能など、市民の文化を熟知し、それらを視覚表現の主題として現代の創作に活写した田中の影響は、同時代のデザイナー、企業人、社会に広がっていきました。また、グラフィックのみならず、出版・編集デザイン、ギャラリー空間での発表、商品などへの企画提案、そして茶道への眼差しを含めた仕事の成果は、現在の社会に定着するものとなっています。

本展では、田中一光の著書『デザインの前後左右』に根ざし、その発想の広がりと表現の着地するさまを多彩にとりあげます。残された膨大な数の作品や資料を検証し、田中を日本独自の視覚表現の推進者と位置づけ、仕事の主軸となるグラフィックデザイン作品を中心に、映像や図版、記録資料など、活動の実際を示す貴重なアーカイブも紹介します。それらを通して、田中一光というクリエイターの人と仕事に迫り、デザイン思想がどのように展開し、表現されたかを探ります。

戦後からの激しい時代を伸びやかに生き抜いた田中一光の創作の軌跡をたどる本展は、現代社会へのメッセージに満ち、これからのクリエイションの新しい方向性と可能性を示唆するものとなるでしょう。

[作家コメント]
「傷ついた地球の再生を考えるデザイン、非西欧文明の再認識、コンチネンタル・スタイルからの脱出、快適追求の後退、きれい事でない国際交流、地球人認識から発生するさまざまな思想の衝突、新品のツルツル、ピカピカではない美意識の復興。それらが二十一世紀デザインの最大の課題ではないかと思う」

「地球資源の枯渇、環境汚染、交通・都市の問題、産業や生活の廃棄物、さらに福祉や高齢化社会問題など、いままで豊かな生活だけを追い求めたデザインに、いくつもの課題が山積してきた。デザインがこうした時代におせっかいな概念にならないよう、注意しなければならない。人間にとってもデザインにとっても、受難な時期がきたようである」

(出典:田中一光著 『デザインの前後左右』 白水社、1995年)

[作家プロフィール]
田中一光/グラフィックデザイナー
1930〜2002年。奈良市生まれ。京都市立美術専門学校(現・京都市立芸術大学)卒業。鐘淵紡績、産經新聞を経て、57年上京。ライトパブリシティに入社。60年、日本デザインセンター創立に参加。63年、田中一光デザイン室を主宰。大阪万博を経て、空間デザインなど仕事の幅を広げた。75年、西武流通グループのクリエイティブディレクターに就任。店舗空間、グラフィック、「無印良品」のアートディレクションなどを通して、企業イメージ戦略をデザイン面から総合的に支えた。他に、TOTOギャラリー・間、ggg(DNP文化振興財団)など企業の文化推進への功績は大きい。88年パリ装飾美術館所属広告美術館、95年メキシコ現代アートセンター、97年ミラノ市近代美術館(PAC)など、国内外で個展を行なった。94年紫綬褒章を受章。同年ニューヨーク・アートディレクターズクラブ殿堂入り。00年度文化功労者など、受賞多数。主著に『デザインの周辺』(白水社、80年)、『田中一光自伝 われらデザインの時代』(白水社、01年)その他。

入場料:一般1,000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料

展覧会ディレクター:小池一子
会場構成・グラフィックデザイン:廣村正彰
照明デザイン:海藤春樹
参加作家:Semitransparent Design、三宅一生+Reality Lab.


21_21 DESIGN SIGHTディレクター:三宅一生、佐藤 卓、深澤直人
同アソシエイトディレクター:川上典李子

全文提供:21_21 DESIGN SIGHT


会期:2012年9月21日(金)~2013年1月20日(日)
時間:11:00〜20:00(入場は19:30まで)
休日:火(10月30日、12月25日は開館)、年末年始(12月27日〜1月3日)
会場:21_21 DESIGN SIGHT

最終更新 2012年 9月 21日
 

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