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Max Ernst
Events
Published: July 02 2012

画像提供:Aichi Prefectural Museum of Art

シュルレアリスムを代表する画家のひとりとして知られるマックス・エルンスト(1891-1976)。本展では、このシュルレアリスムという枠を一旦外し、エルンストの作品の「フィギュア」と「風景」という二つの重要なファクターに注目することで、エルンスト独自の関心のありようを探ります。
エルンストの作品には、人や天使、動物、植物、そして怪物のような不思議な存在…と、様々なフィギュア(像)が登場します。彼らはコラージュやフロッタージュといった偶然が多分に介入するプロセスを経て生まれているため、同じ名前で呼ばれていても、作品ごとにその姿がガラリと変わります。このフィギュアたちはどこか一定の人格のようなものを備えた、キャラクターのようにも見えます。 絵具のしみ、木切れ、金網、落ち葉など日常的な様々な素材、それがエルンストの創造の源でした。
このような素材から転写したテクスチャーに手を加えることで、エルンストはフィギュアたちとともに、森や廃墟、極地や天空の風景を生み出しています。エルンストのフィギュアと風景は、このような誕生の秘密を共有しながら、それぞれに補い合う関係にあります。本展では、このフィギュアと風景との関係を「フィギュア×スケープ」という言葉で表しました。
日本の現代美術には、アニメやマンガなどの文化を背景にした、様々なキャラクター的なイメージが よく見られます。これらもまた、伝統的な美術という枠を越えた、新しい人間像の獲得への試みと捉え ることもできるでしょう。複数の媒体に登場したり、二次創作として描き換えられたりしながら、多様な姿を見せる現代のキャラクターたち。彼らの固有性や同一性をめぐる問題は、エルンストの「フィギュア×スケープ」の関係と、思いがけない共通点を持っているかもしれません。このような視点から、いま、エルンストの作品に触れることの意味を探ります。
エルンストはコラージュ、油彩画、版画、彫刻、書籍など、幅広いジャンルの作品を手がけています。 それぞれのジャンルの持つ技術的な制約や特徴を最大限に活用することにかけては、エルンストほど多彩な画家はいないでしょう。複数のジャンルを横断しながら自由自在に技法を操る、魔術師のようなこの画家の魅力に、国内外の作品計約120 点を通して迫ります。


展覧会の見どころ

①ガイド役は鳥!? エルンストは「ロプロプ」という名の鳥のイメージを数多くの作品に登場させています。この「ロプロプ」は、生涯にわたってエルンストに取りついた想像のなかの鳥であり、エルンストの分身でもあります。本展出品作の中にも隠れている「ロプロプ」を探しながらご覧いただくことで、エルンストの紡ぎだす豊饒な作品世界に自然と入り込んでゆくことができるでしょう。

②技のデパート、エルンスト コラージュ(切り貼り)、フロッタージュ(擦り出し)、グラッタージュ(擦り取り)、オシレーション(振り 回し)…エルンストが駆使した数々の技法は、画家が画面を完全にコントロールするのではなく、 偶然の要素を導きいれるために用いられています。エルンストの不思議な画面がいったいどのようにして作られているのかを間近で確かめる絶好の機会です。

③日本では約10 年ぶりとなる大規模個展アメリカのメニル・コレクションやフランスのポンピドゥー・センター、ドイツのピナコテーク・デア・モデルネほか、国内外の美術館ならびに個人コレクションより約120 点の作品が一堂に会す、またとない機会です。初期から晩年までの多彩な活動を通して、エルンストの新たな魅力をご紹介いたします。

関連事業

パネルディスカッション
本展を開催する、横浜美術館、愛知県美術館、宇都宮美術館の各館で1 回、計3 回の連続パネルディスカッションを開催します。
第2 回タイトル:「フィギュアを支える世界-エルンストのスケープ」
7 月28 日(土)13:30-16:00
会場:愛知芸術文化センター12 階アートスペースA
申込不要、聴講無料(定員150 名)
ゲスト・パネリスト:齊藤哲也氏(明治学院大学准教授)
登壇者:中村尚明氏(横浜美術館主任学芸員)、石川潤氏(宇都宮美術館主任学芸員)
パネリスト・司会進行:副田一穂(愛知県美術館学芸員)

ワークショップ
「こすって・きって、キャラクターのつくりかた」
8 月4 日(土)13:00-17:00
アートラボあいち(名古屋市中区錦2-10-30 TEL: 052-204-6444)
共催:あいちトリエンナーレ実行委員会、オフィス・マッチング・モウル
申込不要、参加無料

ギャラリー・トーク(学芸員による展示説明会)
7 月21 日(土)、8 月4 日(土)、8 月11 日(土)、8 月25 日(土) 各11:00~11:40
7 月27 日(金)、8 月31 日(金)各18:30~19:10
申込不要、観覧券をお持ちの上、開始時刻に美術館ロビーにお集まりください。


全文提供:Aichi Prefectural Museum of Art
会期:July 13 - September 9, 2012
時間:Tuesday-Thursday , Saturday and Sunday: 10: 00-18:00 , Friday:10:00-20:00 (Last admission: 30 minutes before closing)
休日:Monday (except July 16) and July 17
会場:Aichi Prefectural Museum of Art
Last Updated on July 13 2012
 

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