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佐々瞬:それについて
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 5月 13日

copyright(c) Shun SASA | courtesy of Take Ninagawa

今展で発表されるのは、画廊空間の床から天井までを埋め尽くす、逆さまになった胸郭のような、木版で編まれた曲線の物体です。不動で異質なその存在は、彫刻のスタディのようでもあり、ステージセットのようでもあり、まだ完成していない建築物のようでもあり、又は、有史以前の人工物のようでもありますが、物体の目的が何かはわかりません。佐々自身もその答えを持っていません。代わりに、年齢や社会的バックグラウンドの異なる幾人かのキャラクターが、それぞれの見解を話しているオーディオトラックが同時に展示されます。それぞれの人物が、物体が何を象徴しているのかを認識しようと試みるにつれて、私たちも彼らの見方を知ることになります。私たちが同じくその物体に対してするように、個人的な基準による見方です。

造船所に訪れた際にみた建造中の船にインスパイアされたと話す佐々は、画廊の壁面を防水シートと鉄パイプで壁面を組み、展覧会を、展示をする場ではなく、工事現場か、事故現場か、もしくは発掘現場のようにトランスファーします。

パフォーマンスや物語、創意的装飾の側面を作品に取り組むことによって、佐々のインスタレーションは、観る者と作品の出会いをドラマティックにし、また一方で、不足分を補いたいという本能的欲求を通して、人間が異質なものや未知のものに対してどのように反応するかという研究をしています。来場者はこのドラマティックな状況に巻き込まれ、作品を査定する自身の先入観や前提条件(クリティカル アサンプション)について否応無しに熟考することになるでしょう。

※全文提供: Take Ninagawa

最終更新 2009年 5月 16日
 

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