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なつやすみの美術館2 かたちと色のABC
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2012年 6月 11日

ヴァシリー・カンディンスキー詩画集『響き』より|《赤・青・黒の三人の騎士》1911 年多色木版、紙

パウル・クレー《綱渡り》1923 年|リトグラフ、紙

「なんだかよくわからない」

作品の前でそう感じたことはありませんか。特に丸や四角など図形のようなかたちやあざやかな色の作品は、もちろん目には楽しいけれど、何を意味しているのかと聞かれると、ちょっと答えに困ってしまうかもしれません。この展覧会は、夏休み中のこどもと大人が一緒になって、そういった作品にじっくりと向き合い、たくさんの「わかる!」を感じてもらおうという試みです。奥行きのない絵の世界は二次元という世界です。ですが風景であったり人物であったり、描かれているものは立体的に見えます。それは昔からたくさんの芸術家たちが、奥行きのある三次元の世界をうつしとる方法を探し求めてきた結果です。けれどもここ100年ほどの芸術家たちは、うつしとることは「見せかけ」でもあるのでは、と頭を悩ませてきました。そうして、見せかけではなく本当・本物を目指すなかで、かたちや色そのものをテーマとすることに気づいたのです。とはいえ、こうして生まれてきた作品たちが語る言葉は、それまでの美術とはほんの少しちがった言葉になってしまいました。そこでこの展覧会では三つのテーマ、A、B、Cをきっかけにして、作者の見方や考え方、時には実際に書かれた文章も借りながら、少し変わった作品たちの言葉に耳を傾けてみたいと思います。まずAの見かけとかたち(Aspect and Abstraction)では、ものの見かけとそれが線や面の組み合わせで考えられてゆく流れ、そしてそれらが持つ意味について考えられている作品を紹介します。続くB:あちらとこちら(Beyond the Boundary)は、絵という奥行きのない二次元と、実際の世界である三次元を行き来するような作品を中心に、私たちの目や考え方までも疑わせる作品を取り上げます。三番目のC:色と組み立て(Color and Construction)では、組み合わせによって違っても見える色の問題やかたちの組み立て、そして色とは何か、作品を成り立たせるものとは何かという問題にも踏み込みます。作品になにが描かれているか、ということ以前に、私たちは作品の「かたち」や「色」を見ているという事実。そこに目を向けたとき、気づいてみればおもしろい現代の美術の世界が、さらに広がることでしょう。また期間中には、フロアレクチャーやこども向けのトークに加え、アメリカのアルバース財団よりアルバースと直接親交のあった美術史家、ニコラス・フォックス・ウェーバー氏による講演会も予定しており、より深く本展を楽しんでいただくための機会を設けています。

【関連事業】
●フロアレクチャー(学芸員の展示解説)
7月8日(日)、7月21日(土)14時から、2階展示室にて(要観覧券)

●こどもギャラリートーク(子どもを対象としたトーク。親子でも参加できます)
7月28日(土)、8月5日(日)、8月11日(土)14時から、2階展示室にて(要観覧券)

●講演会「アルバース、その人と芸術」
講師:ニコラス・フォックス・ウェーバー氏(アルバース財団理事長・美術史家)
7月15日(日)14時から(13時30分開場)、2階ホールにて

全文提供:和歌山県立近代美術館


会期:2012年6月30日(土)~2012年8月28日(日)
時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)
休日:月(ただし7月16 日(祝)は開館し、17 日閉館)
会場:和歌山県立近代美術館

最終更新 2012年 6月 30日
 

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